みかんの甘さについてちょっと考えてみた。

みかんの甘さについてちょっと考えてみた。

2014.5.30

「終わらない作業はない。」
その言葉を信じて石を拾い続けております。
信じてはいますが、人間うつむいてばかりいると、思考がネガティブになりがちになって困ります。

みかんの糖度。

みかんの食味については先日「最近のみかんは甘すぎる・・・」でも少し触れていますが、そもそも甘さの基準ってなんでしょう。

「今年は夏場に雨が少なかったので甘いみかんになりました。」なんてことをよく言いますが、夏場の渇水とみかんの味についてはさておき、甘さは「糖度」という数値で表されるそのことについて。

みかんの糖質はショ糖、果糖、ブドウ糖の三種類が混合されていて、その割合や量によって食味が変わってきます。
糖質の割合については、品種や栽培条件によって変わってくるのであまり参考にはされることはありません。
甘さを計る目安としては、果汁の中に糖分がどれだけ含まれているか?という糖度が参考にされています。
みかんの果汁100gに糖分が10g含まれていれば、このみかんの糖度は10度(%)と表現されます。
みかんの糖度はだいたい10~14度くらいが一般的で、収穫が遅い品種ほど高くなる傾向があります。

「このみかんは糖度が13度あるからあまいですよ-。」
と言う売り文句がありますが、いったいどうやって計っているのかというと、通常農家がやっているのは、屈折糖時計というものを使って果汁を搾り出してその屈折率から糖度を計ります。
みかんの頭(枝の付いているほう)とお尻(その反対側)では糖度が違います。
頭10度お尻13度で平均が11.5度という感じです。正確に測るには果汁すべてを絞って計測するものですが、お尻だけを計って「このみかんは糖度が13度ありま-す!」なんて言う農家さんがいますので注意が必要です。

そしてそもそも樹になっているみかんすべてが同じ糖度な訳がありません。
それをすべて絞って計っていたら売るみかんがなくなります。みかん農家はベテランになってくると美味しいみかんを見分けることができますので、いちばん美味しいみかんの、それのお尻だけ計って、
「うちのみかんは糖度が・・・」ってなりますので注意が必要です。

みかんの酸味。

みかんの美味しさには糖度のほかに酸味も大きく関わっています。
酸味というのは有機酸のことで、主にクエン酸のことです。果汁100gにクエン酸1gで酸度1%という表現になります。
まだ青く熟していないみかんの酸度2%は、酸っぱくてとても食べられません。これが徐々に色づき、1%近くになってくると食べ頃です。収穫が遅れて酸度が0.7%くらいになると甘いだけのみかんと言われます。

糖度と酸度のバランスと旨味。

糖度と酸度の割合を数字で表したりもします。数字が大きいほど甘みが強く感じられると言いますが、
糖度10度で酸が1%だと糖酸比は10です。
糖度が14度で酸が1.4%でも糖酸比は10です。
糖度が10度で酸が0.7%なら糖酸比は14.2となります。

何が言いたいのかよく分りませんね。糖酸比が高いからどうなんだという話です。
そのほか、みかんに含まれているアミノ酸は、その濃度によって味に変化を起こします。
甘みや酸味、苦味や旨味などの複雑な味を併せ持つアミノ酸ですが、濃度が高くなるにつれ甘みと旨味を感じるようになります。
いわゆる「コクのある味」というやつです。

結局、美味しいというのは人それぞれの好みによる部分なので、数字は目安に過ぎず、あまり主張しても意味がないと思うのです。
というわけで北東農園では、糖度の話はできるだけしないように心がけています。
その代わり「おいしいですよ-。」を100回言うようにしています。