2024-06-04
早いもので6月でございます。先日の台風1号の影響による雨も大したことなく、風もほとんど吹かなかったのでひとまずホッとしております。
この時期の雨はみかんの生育にとって良いことなのですが、生まれたばかりの実は非常にデリケートで風で揺すられたさほど固くもない葉っぱに擦れるだけで傷がついてしまう。
だから出来るだけ風は吹いて欲しくないのですが、春から初夏にかけては気圧の変化によって急に強い風が吹くことがあるのですね。
そうすると外に干してあった洗濯物やサンダルなんかが急な風で飛んでったりするわけですが、メイストリームなんていう呼び方があるそうでこれは初聞き。
「5月に吹く風」と検索したはずなのに勝手に「メインストリート」に変換されるくらいだからGoogleも知らなかったっぽい。なんか洗濯物が中央通りまで飛んでったっぽくなるよね。田舎だからメインストリートなんてないんだけどさ。近くに池ならあるけどね。池に落ちたサンダル拾い上げて「メイのじゃない!!」って、じゃあ誰のなんだよっていう話なんですが。
落ちた洗濯物は拾い上げてひっつき虫を払い取って干し直せば済むのですが、幼果についた傷は完全に治ることはなく、かさぶたのようにキズ痕として残ります。あたしの膝にいくつかある。
キズ痕の付いたみかんは規格としては1ランク下げとなるので販売価格に影響が出るわけで、「味に変わりはないのよ!」とか言ってもキレイなのとキタナイのが並んでたらそりゃキレイな方が売れるよねって話で、やっぱキレイに越したことはないわけです。
なのでこの時期に強い風は吹いて欲しくないのですが、風は止められないし園地の立地が風当たりの強い丘陵地(韻!)。かといって園地を覆う巨大防風ネットを立てられるはずもなので、これはもう諦めるしかなくなるわけです。
毎年のようにこのメイストリームに悩まされていて「北東農園のみかんはあまりキレイじゃない」というのがJAに出荷していない大きな理由でもあって、「ワシのせいじゃないのに勝手に値段下げないで!!」って感じです.お客さんへの直接販売であれば「これはこうこうでこうなのです!」っていう言い訳が先に出来るのでもっぱら直販が当園のメインストリームとなっています。
病虫害については
あと、みかんに付く傷の大きな要因の一つである害虫による食害や菌による侵食については薬剤による防除を行っていているわけですが、薬剤のみに頼って防除できるほど世の中は甘くなくて、農薬バンバン撒き散らしとけばキレイな作物が出来るほど農業界は甘くなくて、愛情注げば甘くなるほどみかん業界は甘くないのですね。
農薬で虫が死ぬなら今頃絶滅してるはずなのに全然そんな気配すらなくなんなら増えてるような気もするし、散布時期がちょっとズレるだけで確実に被害が増えるわけで、薬剤だけに頼ってては埒が明かないのですね。
ということでみかんの樹に悪い虫やカビ菌が住み着かないように嫌がらせをしてやります。
まず悪い奴らの多くは陰湿(勝手な思い込みを含む)な性格なので、まずは草を刈って住処を減らします。みかんの樹も枝を払って日当たりと風通しを良くして園地全体を爽やかな環境にします。「あ、俺らここにいるの場違いじゃね?」と思わせる作戦ですね。
まあ、爽やかな場所を好む悪い奴とか良い奴なんだけど陰キャとか、世の中にはいろんな奴らがいるわけで一概に思い通りに行かないのが世の常。
で、最終手段としてここで農薬をおもむろにヤマトの波動砲のごとく撃つわけですね。なんで波動砲が出てきたのか分かりませんがとりあえず出します。
宇宙戦艦が最終兵器を使うとエネルギーが減りますが、農家が最終兵器を使うと預金残高が減ります。どちらも溜まるまで時間がかかります。なのでのべつ幕なしには撃たない。
できるだけ相手を引き付けてから最大限の効果を狙ってここぞという時に撃つのです。
今回の敵は一匹で一本の樹を枯らす力を持ちながら水玉と縞々コーディネートがダサい「ゴマダラカミキリ」と、気を許すと爆発的に増殖して緑を吸い上げる赤い彗星(彗星?)「ミカンハダニ」と、どこにでもいてねずみ講のように増えていが目には見えない「黒点病」を一網打尽にすべく、油と殺虫剤と殺菌剤を混ぜた薬剤をアンドロメダの拡散波動砲のごとく撃ち始めて、、
2時間後に雨が降り出しました。
聞いてない、、、
結構な本降り、、、
薬散が慟哭、、、(ダジャレすらムリがある)