2015年1月4日(日)
数日休んだだけなのに、人が堕落するのなんて簡単なことなんだなあと思いながら、鈍い頭と重い体を引きずりつつ2015年の仕事始めです。
年始め恒例の防除作業です。
対象は「カイガラムシ」と「ミカンハダニ」の2種類の害虫です。共に枝葉や果皮から養分を吸引して落葉や枝の枯死を招くため、みかんにとって重要害虫の一つに挙げられています。
この2種類の虫は(虫と言ってもヤノネカイガラムシは成虫で3㎜、ミカンハダニは0.4㎜ほどの極小で目を凝らさないと見つかりません。)卵、幼虫、成虫が混在した状態で越冬して、気温が高くなると増殖を開始します。
カイガラムシ(おもにヤノネカイガラムシ)で年間約2-3世代、ミカンハダニに至っては13-14世代産卵を繰り返して爆発的に増殖します。
一度増えてしまうと防除が困難になり、対応が後手に回ると薬剤の使用回数が増えることになるので、初期発生密度を抑えることが重要です。
冬マシン
卵から成虫まで混在しているので一度の薬剤散布で根絶することは不可能なのですが、冬場の活動停滞期に出来るだけ個体数を減らしておき、暖かくなって出てくる天敵に残りを捕食してもらうことで、その後の発生数を抑えることができます。
薬剤は「マシン油」と呼ばれる、機械油を水に溶けるように乳化させたものを使用します。
油で包んで物理的に窒息させるので毒性はなく、薬剤耐性が生じる心配がないとされていて、さらに冬場ということで他の虫たちがいないというのも大事なところです。
冬場におこなうので「冬マシン」と呼ばれています。
ただ、すべてに散布するわけではなく、中晩柑類は果実が樹に成っているので収穫後に散布をします。それと収穫を終えた隔年生産樹は、枝葉を多く切る剪定をするので物理的に虫も切り離すことになり冬期防除の必要がないということで、全体でいうと6割ほどの防除面積です。
しっかりと効果を上げるためには、散布後数日間は雨が降らない日を選び、ムラのないよう丁寧に散布をしていきます。
同時に栄養補給のため尿素を300倍の濃度で加用して、根が活動していない分、葉面から吸収させてあげます。
化粧品などにも入っている尿素ですが、300倍の濃度ではみかんの樹には効果がありますが、お肌ツルツル効果は見込めないようです。
手足の先の霜焼けに耐えながら3-4日で終了です。