青切る?青切らない?

青切る?青切らない?

2024-09-16

9月も半ばだというのに昼間は真夏のような暑さです。8月より空気が澄んでいるからか直射が痛いほどに刺してきます。
特に今は午前中の方が日差しが強く、あまりの暑さにシャツ(長袖)を脱いだらものの2時間ほどで日焼け止めを塗っていない腕が真っ赤に日焼けしてしまったとです。

私が焼かれている間に巷では「極早生みかん」が早くも店頭に並び始めているようです。

たくさん種類のある温州みかんの中で最も早く収穫される「極早生みかん」は9月~10月が旬とされていますが、その中でも今店頭に並んでいるのは果皮色が緑の状態で収穫される「青切りみかん」と呼ばれているものです。

いわゆる「旬の走り」ですね。今年のみかんの出来はいかがなもんかと占う、ワインで言うところのボジョレー・ヌーボー的な存在なのですね。

「ほどよい酸味と爽やかな甘味が残暑にピッタリ!」なんていうフレーズで売られておりますが、あくまで未熟なみかんであり旬の走りでありボジョレーじゃないけどヌーボーなので、これが本来の味でははないということを念頭に置いて召し上がっていただきたいと思うのです。

決して「みかんあんまり美味しくな~い!」

とかならないようにしていただきたいと思うのです。

青切る青切らない?

そんなこんなで早くもみかんシーズンが始まっているわけですが、北東農園はいつものように10月の中下旬からの販売を予定しています。一応「完熟」を売りにしているので、青切りみかんが店頭で山積みになっているのを横目に焦ることなく粛然とその時を待ちます。

未熟より完熟の方が美味しいからね。一番美味しい時に食べてもらいたいからね。

とか言いながら、じゃぁ、北東は青切ったりしないのかと問われれば「ちょっと青切ります。」となります。

なんやねん…

青切りみかんの味が嫌い言うてたやん…

でも採るんや…

自分でも思うわなんやねん…

これには諸な事情があって、大まかな説明をすると、色づきの途中で果皮が膨れだしたり、完全に着色させると急に味がぼやけたりといった現象が起きて、「完熟まで保たないものがある…」のですね。

理由としては品種の性質や気候や作り手の技術の問題が主な原因ではあるのだけれど、「極早生みかん」の栽培面積が大き過ぎて収穫が間に合わないっていうね。

「完全着色になるまで収穫しない!」「他人にみかんを触らせたくない!!」「美味しいものから順に採る!!!」っていう先代の強いこだわりがあって、厳選に厳選を重ねて収穫していたわけですが、結局収穫の中盤になる頃にはすでに熟期を過ぎたみかんが次々に傷み出すという状況になるわけで。

総廃棄率が4割を超えるとなるともうこれはこだわり通り過ぎてもはや趣味なわけで、2人で収穫してこれだから私ひとりだとどうなるんだという絶望感に苛まれていたわけなんですけども。w

というわけで熟考を重ねた挙げ句「完全着色まで収穫しない!」という社訓を外しまして、販売基準に満たないと思われるものを先に収穫して市場に出荷するようにしたおかげで収穫期間が長くなり廃棄率も下がり良かった良かったとなっています。
(ちなみに「他人に触らせない」は販売基準の判定は自分にしか出来ないのでそのまま残しています)

1号の取り扱い。

ここからが本題です。w

一口に「極早生みかん」と言っておりますが、この極早生種の中にもいろいろな品種があって、当園では「大分早生」「紀南1号」「日南1号」の3品種を栽培しています。(大分早生という品種は早生と名前がついていますが極早生品種です。)

早生みかんなどのように品種別に販売しないのは、色づきの順に収穫するため販売期間が定まらないからですね。

そもそもみかん(特に極早生種)は一斉に色づくわけではなく、日の当たる外周から順に色づいてくるため着色にかなりのばらつきがあります。

「大分早生」の色づいたものを一巡して収穫したら次は「紀南1号」の色づいたもの、そしてまた「大分早生」に戻って次は「日南1号」の収穫に向かうといった感じになります。各品種が混ざって一つの箱に入るということはありませんが基本的に味に違いはほとんど見られません。

ということで極早生種に関しては品種で販売することはせず、ひとくくりに「極早生みかん」としてその時の一番美味しいものを箱詰めするようにしています。

そんな中で「紀南1号」という品種がありまして。

正式には「みえ紀南1号」といい、H18年に品種登録された三重県独自の極早生品種です。「味1号」や「みえの一番星」などのブランド名で販売されています。

かなり早い(未熟な)段階で糖度が高いんだけど、完全着色まで樹に成らせておくと味がぼやけてくるっていうヘンな特性があって、なかなか完全着色時に味のピークを持っていくことが出来ないでいたのですね。

あれこれ模索を続けながらもその間は「ピークの過ぎた味のみかんは販売基準以下」ということからお客さんへの直接販売はしていなかったのです。

で、結局完全着色に囚われていては一番美味しい時の紀南1号が販売できない!という考えに至りまして、今年から「紀南1号」につきましては少し青みの残った(でも一番美味しい)状態のものを箱詰めすることになりました。

今回のブログで一番お伝えしたかったことをお伝えすると(長い前置きだったなぁ)「極早生みかん」につきましては、

販売開始当初(10月中旬~)には青みの残るものが入ります。そして10月下旬から11月中旬にかけては完全に着色したいわゆる完熟状態のものが入ります。

すべて当園の販売基準をクリアしたものとなりますので、青みが残っているものでも味が劣っているわけではありませんので、今まで同様安心してご購入いただければと思います。

ちなみに現時点で当園が栽培している極早生3品種の中では「紀南1号」が一番美味しく感じます。

販売当初にお買い上げ頂いた方は少し戸惑うかも知れませんが自信を持ってお届けしますので、この新しい品種の味に期待していただければと思います。
また、今まで通りの「完熟」がご希望の場合は、10月下旬以降のご注文でお届けします。

販売前にオンラインショップで改めてお知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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