2016年8月30日(火)
美味しさを表現するのは難しいものです。
愛情を表現するのと同じくらい難しいかも知れません。よくわからないけど。
テレビでグルメ(食通)番組や、食べ物を紹介する場面を見ていて、タレントさんやなんかが一口頬張った瞬間に目を大きく見開いて
「ン~!!旨んま~!!」
って言ってるのを見かけます。というか頻繁に見ます。てかそればっかりな気がします。
食感や食味についても「口の中で肉汁が・・・」とか、「外はサックサクで中はトロトロー~!」とか、すでに聞いたことのある言い回しを、ちょっとニュアンスを変えて言ってるだけで、なんだか美味しさを伝えているというよりは、タレントさんのボキャブラリーを品定めしているようにしか見えないのですね。
それだけ目に見えない「味」を伝えるのは難しいということなのだろうけど、表現として旬が過ぎているのをきっと分かっていながら、しかし代替え案が見つからないまま古いテンプレートを使いまわしているといった状態なのだろうなあ。
特に生鮮品である果物の場合は調理方法に依存することが少いぶん、素材そのものの味しかしないため単調な表現になってしまいがち。
「あま~い!」とか「新鮮~」とか。
いくら美味しくても「甘くて美味しい」ばっかりじゃ何も伝わらないので、そのために「旬」とか「栽培方法」だとか「こだわり」だとかを味に絡めて表現しようとし、挙句の果てには、よく考えてみると意味が不明な「生産者の愛情」なんていうものを込めてしまう。
もはや素材の味というよりは、調味料だけで料理を作っているみたいな感じです。
すっかり「美味しい!」に新鮮味が無くなっていると感じる今日このごろです。