1回目の生理落果。

1回目の生理落果。

2026-05-29

みかん畑ではすべての花が散り終え幼果が顔を覗かせています。
太陽の光を浴び適度な雨を受け養分を根から吸い上げて日に日に大きくなってきました。

実が大きくなると同時に新しく出た枝葉が育つ時期でもあるので、ツヤツヤとした新しい葉がどんどん大きくなって樹が生い茂る時期でもあります。
そして5月下旬に入ると生理落果というのが始まります。

黄色くなった実が落ちます。

これはみかんが成長する過程で樹が自ら実を落とす現象で、枝から分岐した軸の所から外れます。

クリオネみたいです。

今の時期は一次生理落果と言って、実と枝葉の間で養分の競合が起きて弱い実が負けてしまうのですね。

樹の大きさにもよりますが、みかんの花は1本の樹に数万個以上の花を咲かせると言われています。面倒くさいので数えたことはありませんが1本に数万個のみかんが生れば農家は大儲けできますが、養分が不足して樹は間違いなく枯れます。
樹本人も枯れたくはないわけで、多過ぎる実を切り離して自らの成長と子供を残す生殖のバランスを取ろうとします。

もったいないです。

では、養分(肥料)をたくさんあげれば落とさずに済むのではないかと思うのだけれど、そう簡単には問屋が卸してくれないのですね。

養分がたくさんあり過ぎると子孫を残す必要がないのでまず花が着かなくなります。花が着かなければ花や実に送るはずの養分が余ってきて、それらはすべて枝葉の成長に使われます。

結果ぐいぐいと樹は大きくなりますがみかんが少ないという大変困った状況になります。そして着果した実は生理落果しない代わりにどんどん養分が送られどんどん大きくなります。

成長が続けば一向に成熟が始まらず、成熟しないということは甘くならないということで、結果大玉で甘くないみかんが少しだけ出来るということになります。そんなみかんを喜んで食べてくれる人はあまりいません。

逆に養分量が少な過ぎると、花がたくさん着いて枝葉が出ないという状況になります。枝葉を出す養分が足りないということは花に送る養分も足りないということで、大量の落果を招きます。

その後も養分が足りない状況が続けば小玉でひ弱なみかんしか出来ないということになります。その段階で養分を補うために肥料を多く与えてしまうと成熟が遅れ糖分が作られず外皮だけ成長してしまい、さらに困った状況を引き起こします。

そして枝葉が出ていないということは花になる芽がないということで、翌年は大不作となります。

「それうちのみかんじゃん!!」っていうツッコミを自身に入れてみたりしますが、今回はその話じゃないので流します。w

というわけで「ちょうど良い養分量」が求められるわけですね。このちょうど良い養分量はある程度の生理落果を容認することとなります。

なので着果量の半分以上落ちても慌てることはないのです。

あ、ちなみにこれは温州みかんのことで、「不知火」などの中晩柑類ではまた違う話になります。

ちなみにちなみに一次生理落果があるということは二次生理落果もあるわけで、こちらは6月中旬頃から始まります。枝葉への養分供給が止まってはいる時期ではありますが、まだまだ実が多過ぎて「やっぱり養分が足りないのでもっと落とさねばならねぇ!」という状況です。

ここでも約半分くらいは落ちるのですがこれも許容範囲内です。

数万の花が数千くらいの実となって樹に残るわけですが、実際はこれでも多過ぎるのですね。樹の大きさとかにもよりますが、Mサイズくらいの仕上がりにして、なおかつ来年用の発芽養分も残しつつ実の成熟を収穫期に合わせながら樹の健康を保つというのが理想的なので、最終的には数百個くらいにしたいわけです。これらを丁度良い具合に調整するのがみかん生産者の仕事となります。

じゃあ、多過ぎる分はどうするのかというと、手でちぎり落とします。

摘果(てっか)と言います。

1本の樹で数千個とかちぎります。

地味な作業です。

実際にはこれを二次生理落果が終わる7月頃から夏の終わりくらいまで続けます。

炎天下の中、意識が飛びそうになりながらむしむしとひたすらちぎります。

むしむしむしむし…

ZZZ…

みたいなことにもなります。

なので生理落果では丁度良いくらいに落ちてほしいと願っています。

上部へスクロール