みかん山と山ではないみかん。

みかん山と山ではないみかん。

2015年1月30日(金)


農地が平地にあるというのはなかなか便利なもので、上り下りがなく足腰に優しいところと、畑のどこにいても電波が届きます。
「この電話が掛かってこなかったら一体どうなっていたんだろう(T_T)」というようなことが立て続けにあると、電波の重要性が身に沁みます。

ちがうだろよ! それよか抜本的な解決を図れよ! ということなんですけどね。 あ、独り言です。。

なぜみかんは山にある?

みかん畑といえば、山の斜面に造られた段々畑がイメージされることが多いと思います。本場の愛媛とか和歌山では、足を踏み外したら海まで転がり落ちてしまいそうな急なところにある畑なんかもよく見かけます。

なぜみかんが作られるのは平地ではなく山なのかというと、狭い国土のなか、日本人の主食であるコメの生産が栽培しやすい平地で優先的におこなわれ、次に大事な野菜類、そして嗜好品扱いの果物の順に座席を割り振られていったのですね。

その果物の中でもブドウや梨などは栽培に手間がかかるため、出来るだけ作業性の良い場所で栽培されます。
さて、語弊を覚悟で表現すると、いちばん手間のかからないのがみかんというわけで、末席に案内されたということらしいです。

とはいえ、そんな作業性が悪く、効率的でない所で栽培するのは大変そうな気もしますが、大きなメリットもあるようです。

みかんの場合は日照量が味に大きく影響します。山肌を階段状に削って一列に並べることで、日光は上からだけでなく横からも当たることになり、日照量が大幅に増えます。
さらに海に近いところでは海面に反射する太陽の光が下から照らすことになり、「2つの太陽がある」なんていう表現をする人もいます。

それと雨水が斜面を流れて行き、みかんの味を薄める原因となる余分な水分が残り難い。そして土壌を切り立てているので根域が制限されれて、その分さらに水分吸収が少なり、さらにさらに海に近く潮風の当たるところでは、葉に付着した塩分が「青菜に塩」の原理で水分を排出させることで、より美味しいみかんが出来やすいのです。
ブランドみかんの産地には海辺の段々畑が多いのはそんな訳があるからです。

では平地にある北東農園の畑はどうなんだというと、
「マルチシート」というものを使います。

この「マルチシート」に関して詳しくはこちらで…

もちろんこのシートは段々畑にも使われていて、より美味しいみかんが作られているのですが、緩やかな傾斜のある平地はマルチシートの効果をさらに出しやすく、それによって海辺に近い段々畑レベルのみかんを作ることが出来ます。

土壌の水はけ。

「北東さん?ああ、あの砂利の上でみかん作ってる人ね。」

褒めてもらってうれしいです!!

って、べつに褒められているわけではないですが、うちの畑、元々は海の底だったところにあります。砂利の採取場にもなっていた所の上に作土用の土を入れて畑にしています。

2015-01-29

畑の横にはこんな断層がむき出しになっています。

つまり水はけが非常に良く保水率が低いため、土壌を乾燥させて水分ストレスを掛けるにはもってこいの条件にあります。その上にマルチシートを掛けて徹底した水管理をすることによって、海辺に近い段々畑以上のみかんが作れるのではないか!?という思惑のもと、不遜な笑みを浮かべつつ、日々みかん作りにいそしんでいる次第でございます。

でもその土壌のおかげで苗木の育成に時間が掛かるとか、水管理を少しでも怠るとすぐに枯れそうになってしまうとかで難しい部分も多いのですね。
というわけで一年毎に樹を休ませながら丁寧にみかん作りを行っております。