完熟方法の違い。はるみの場合。

2018-01-26

2018年1月26日


前回のブログ「はるみ収穫」 icon-external-linkの続きです。

越冬する中晩柑を樹上完熟で収穫するか、早期収穫をして貯蔵で完熟させるかは、品種の特性に基づいて選択されます。

比較的温暖な三重県熊野地方は寒害のリスクが比較的低いため、北東農園では樹上完熟を基本としています。

「はるみ」の栽培を始めた当初は、当然のように樹上完熟を目指すも初年度は鳥に全部食べられて全滅。

2年目は袋掛けをすることで鳥害は防げたものの、収穫時に袋を外してみるとすべての果皮に小さなヒビ割れが発生していてまたもや全滅。

ヒビ割れの原因はおそらく肥料分の過不足か、長い間成らせ過ぎたことによる果皮の劣化、もしくはその両方と思われます。施肥の調整をして適正量を割り出すには年月が掛かると判断し、わりとあっさり樹上完熟をあきらめ、3年目(植栽してから7年目)にして「早期収穫のち貯蔵」方式に転換です。

過去にも他の品種で貯蔵による完熟を試みたことがあるのだけれど、温度や湿度の調節が効かないトタン張りの掘っ建て倉庫ということもあり、今までほとんど成功したことがなく半信半疑というよりは最後の試技という感じです。

果皮にヒビ割れが起きる少し前の1月中旬、ちゃんと酸抜けするのか?途中で腐るんじゃないのか?と、いろいろと不安を抱えながらも収獲して、大雑把に新聞紙を内張りしたコンテナに入れて倉庫に保管すること約1ヶ月半。これで上手く行かなければ栽培不適合として新たな品種を探すことになります。

春の暖かさが肌に感じる3月初旬、おずおずと新聞を剥がしてみる。

傷んでいる果実がほとんど無いのにまず驚く。

薄くて若干頼りない感じだった果皮の状態は、少し柔らかさが増したくらいで、水分が抜け過ぎてシワシワになったりせず良好。

そして1個試食。

あ・・・うまし!!

「はるみ」特有のつぶつぶ感を残したまま、あれほど強かった酸味が抜け、それと入れ替わるように甘味がしっかりと立っています。長期貯蔵柑橘にありがちな過度なまったり感もなく、そして自身初の貯蔵完熟に成功したものですから旨さは軽く200%です。

果皮が強く貯蔵性も良好で食味も上がる、貯蔵完熟に適した品種であると確認したわけです。

その後3年連続で同等の成果を得る事を確認した上で新規生産ラインに乗せることを決定した次第です。

ただまあ、そんな「はるみ」の栽培のやり方なんてものはすでに一般的に行われていることであって、わざわざ資料に書かれていることを長い時間かけて確認してみる意味がどこにあるのだろうかと思うわけですが。

「石橋を叩いて渡る」というか「石橋を自分で作ってから渡る」から進歩が遅いのです。

そしてその頃には「はるみ」最大の問題である「隔年結果」が決定的となっております。

「隔年結果」というのは柑橘の持つ性質で、豊作と不作を一年ごとに繰り返す症状のことです。隔年結果を起こすと生産が不安定になってしまうので、出来れば避けたい状況なのだけど。

「はるみ」の植栽本数10本で、その割合がなぜだか8:2という。

せめて5:5なら救いもあるのに。

昨年の収穫量が40kg、そして今年は150kg。

大豊作です。

来年の大不作決定です。

生産が安定しないというより売り難くって仕方がない。

収穫量安定を目指して昨年から増殖をしておりますが、順調に販売できるまで数年掛かりそうです。

ちなみにこの「はるみ」という品種、「デコポン」という名前でおなじみの「不知火」と同じ「清美」と「ポンカン」の掛け合わせで出来たものです。いわゆる姉妹品種なのですね。

「不知火」の方はゴツゴツと分厚い面構えの割にはデリケートな性質を持っていて、貯蔵しても酸味が抜けないうえに痛み果を多数出した経緯があり、「はるみ」とは真逆の手順を踏んでの樹上完熟方式となっています。

姉妹でも味の特徴が違うので、2つの味の食べ比べなんていうことも出来ればいいかなあ。仕上がり具合を確認して販売レベルに達していれば、改めてご紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。