2024-07-22
今年の梅雨は比較的静かに入って静かに明けていった印象です。ニュースとか天気予報で見る限り他のところでは全然穏やかでもなかったみたいですが、とりあえずこの辺りでは近年稀に見る丁度良い加減の梅雨でした。
さて、梅雨が明けたら明けたで猛暑は例年通りです。
またもや防除です。
炎天下での防除作業が一番やりたくないけどやらないわけにもいかないということで、朝早くから作業を始めて10時頃から長い昼休憩を取り、暑さのピークを超えた夕方前からまた作業に戻る。といういわゆるサマータイムで行います。
今回は黒点病用の殺菌剤とまたぞろ出てきているゴマダラカミキリ用の殺虫剤、あとはいつものアミノ酸とかの栄養剤を混用して散布。
「不知火」と「モロ」「はるか」の中晩柑には別の殺菌剤と日焼け予防のカルシウム剤を使用しました。
最近、猛暑による柑橘の日焼け果の発生が問題となってきました。強い日差しのせいで果実の表面温度が高くなり、果皮の組織が壊れるという現象です。実際に触ってみるとかなり熱くなっています。
こんだけ暑い中で太陽に晒されていたらそりゃそうなるよなとは思います。直射を受ける南向きの部分だけに起きるものですが、果皮の一部分が変色して固くなり果汁もなくなっているため廃棄処分となってしまいます。
ブラッドオレンジの「モロ」
ということで白い粉を塗ります。塗りますというか水で溶かして吹き付けて表面温度を下げることで日焼けを予防します。貴婦人方のおしろいと同じ作戦ですね。
この一見怪しげな白い粉は、水に溶けるほど小さな粒子に加工された炭酸カルシウムという成分で出来ています。手に付いたり少し食べたくらいでは無害です。
このカルシウム剤は雨によって少しづつ落ちて消えていきますが、雨の当たり難い部分などはいつまでも残っている場合があって、「買ってきたみかんの果皮に白いものが付いてるっ!農薬だぁ!!」となりがちです。
まあ、殺虫剤として農薬登録されたものではあるのですが、実際は「チャノキイロアザミウマ」限定で、殺すというよりは白い色を嫌う性質を利用して寄せ付けないというものです。
大量に摂取しない限りは心配ないというデータもちゃんとあって、そもそも食品にも使われているものなのでちょっと手に付いたくらいでは全然大丈夫っす!!ということです。
話は少しそれますが、巷では野菜を洗うホタテパウダーなる商品があるらしく「これで野菜を洗えば残留農薬が除去できます!」とか謳っておりますが、これも炭酸カルシウムなのですよね。
ホタテパウダーは農薬登録されていませんが成分は同じです。石から作ろうが貝殻から作ろうが同じ炭酸カルシウムです。
農薬で農薬を除去するっていう意味がよく分かりません。しないと思いますね。
そもそも家庭で食べる野菜には通常農薬は残っていませんからね。まあ、強アルカリ(PH12!)なので掃除には使えそうです。でも手荒れしますから手袋は使ってね。
ということで「表面に白いものが付いてる場合がありますが、人体に無害なものなので安心してお召し上がりくださいませ!」という説明がなされるわけですが、当園ではいちいち説明なさるのもまあ面倒なので、確実に白いものが消えているであろう収穫が来春の「不知火」などの中晩柑にのみ使っています。
温州みかんについては、日焼けするような果実は軸が太く空に向かって成っている(天成りと言います)ものが多く、大玉になりがちだし大して美味しくもならないので、日焼けが認められた時点で切り落としてしまします。
美味しくなるみかんは軸が太くなく時間が経つほど自らの重みで葉の影に隠れるように下がってくるため日焼けしないものなのです。(当園調べなので確証はありませんw)
3日ほど掛けて少しづつの防除作業でしたが、さすがに最終日は途中で汗が止まらなくなり木陰でクーラーボックスを抱きかかえてしばらく中断する事となりました。来年に向けて対策を考えておく必要がありそうです。
これで今シーズンの定期防除は終了です。このあとはイレギュラー的に病害虫が発生した時点で判断しますが、今年はカメムシが不気味な動向を見せているようなので要注意です。