2017年10月6日(金)
今年の三重県熊野地方は梅雨時から夏にかけて全般的に雨が少なく、大きな台風も今のところ来ていないので、このまま行くと美味しいみかんがお届け出来そうです。
菊模様のみかん。
最近、「菊みかん」が美味しいみかんという認知が広がってきたみたいです。
「菊みかん」というのは品種名ではなく、下の写真を見ていただけると分かると思いますが、果皮が凸凹しています。
これがが菊の花模様に似ているということでつけられた名称です。
このようなみかんが出来る要因としては、樹の栄養が足りていない状態で夏場に雨が降らずみかんに強いストレスが掛かってしまうと、果実がしなびてこのような形になります。人間でいうと肥満とダイエットで起こる「肉割れ」という症状に似ています。
実は栄養が少なめで水分も少なめというのは、美味しいみかんが出来るときの必要条件であり、その条件が揃ったときに出来る菊模様は、美味しさが目に見えるみかんということになります。
このあたりは過去記事 「美味しいみかんの見分け方」 でも書いていますのでご参考までに。
菊みかんのレシピ。
極早生品種で「菊みかん」を作るには、まず
- 水はけの良い土を用意します。
- 肥料を少なめにして貧弱な樹に育てます。
- 梅雨明けから8月中旬まで雨が降らないようにする。雨が降ったときは傘を差すか地面が濡れないようにして樹に水分ストレスを与える。
- ストレスの具合は果実が少ししなびるくらいでちょうど良いが、落果したり樹が枯れないように、注意しながら少量の水をたまにはあげる。
- 夏場以降もできるだけ雨が降らないように祈る。
- 果実が大きいと菊になり難いので摘果は控える。
おおむね以上の事柄をクリアできれば美味しい菊みかんが作れます。
作れると、思います。
注意事項
- 樹への負担が大きいため、翌年の生産はあきらめ樹勢回復に努めること。
- 小玉化するため収穫量は減少する。
- 規格外品扱いとなるため、新たな販売ルートを確保する。
以上の注意事項を踏まえた上で菊みかんを作れば、お客様には喜んで頂けること間違い無しです。
北東農園の菊みかん事情。
以前は北東農園の代名詞だった菊みかんですが、最近は一部の品種を除きほとんど見られなくなってきました。
これは天候の影響や、樹体へのストレスが足りず食味が低下したのではなく、単に栽培方法が変わってきたためです。
通常であれば梅雨明け後に水分ストレスがかかり始める時点で、すでに相当のストレスを受けている状態となっていて、潅水をしないと枯れる寸前となっています。
つまり菊みかんの必須条件である「夏場にみかんがしなびる」状態にできないのです。
目に見えて美味しさが分かるとされる菊みかんですが、菊みかんが一番美味しいというわけでもないのですね。
菊みかんが成っている樹には通常の果皮のみかんも成っています。この場合は明らかに菊みかんのほうが美味しいといえます。
そうすると今度は「菊」と「通常」を区別する必要が出てきてしまいます。特別美味しい菊みかんをどう扱うか、もしくは通常みかんをランク落ちとして扱うのか、というようなことです。そうしないと一箱の中で違う味のものが混在することになるからです。
それよりは、菊みかんは出来ないけれど高いレベルで味の揃う手法を採っていこうというというのが北東農園の現在のスタンスとなっています。
というわけで今年は「菊みかん」はほとんど入っていませんが、十分満足して頂ける味となっています。
収穫は中旬に入ってからになりそうです。もうしばらくお待ちくださいませ。