2014.6.22
マルチ、防除、マルチと天気に合わせて日々の作業が変わっていくので、仕事がはかどっているのかいないのかよく分らない状況のなか、この季節恒例のあいつがやって来ます。
夏の元気なご挨拶といっても、残念ながら「ハムの人」ではなく、
「ゴマダラカミキリ」です。
ここのところ毎日10匹ほど確認していて、例年より数が多いのが気になります。近くに耕作を放棄したみかん畑があるのかもしれません。
この地方では「天牛」と言ったりもします。柑橘の樹に寄ってくる虫で、特に樹勢の弱ったみかんの樹が大好物みたいです。耕作放棄されたみかん畑はカミキリムシの絶好の繁殖地となって、そこからまた新たな繁殖場所を求めて拡散していきます。
カミキリムシの成虫はその固い歯を使って葉や枝の皮をかじります。
かじるだけではなく株元に卵を産み付けていきます。
問題はこの幼虫です。
卵から1週間ほどで孵化した幼虫は、カブトムシの幼虫を細く小さくした様な形で、成虫に負けないくらいの固い歯を持って生まれます。そして生木を食べながら中に入り込んで1年ほど樹を食い荒らした後、成虫として外に出てきます。その脱出孔が銃痕のようなので「てっぽう虫」とも呼ばれています。
この1匹の幼虫が樹を枯らすこともあり、みかん農家にとっては最重要害虫といえます。
しかも樹の中に入り込んでいる幼虫に対しては薬剤が届かず、ひとつひとつ捕殺していくしか方法がないのです。
幼虫が食べた後の木屑をたどって、針金を突っ込んでほじくります。数十cm突っ込んでも届かないものもあり、時間の掛かる面倒くさい地味な作業となります。
この成虫の活動産卵期は6-10月頃までの長期にわたっていて、薬剤の効果はせいぜい10日ほどです。
薬剤だけに頼っているとたいへんなコストが掛かってしまうし許可もされていません。
最盛期のタイミングに合わせて1-2回の散布を行い、あとは捕殺に努めるのみです。
そういえば小学生の頃、ある農家さんの畑でカミキリムシを捕まえたら1匹10円もらえるというアルバイトをやったことがあります。
友達数人で行ってひとり数十円の稼ぎだったけど、それを持って駄菓子屋さんで豪遊したなあ。
でもあとから聞いた話では、カミキリムシを農協へ持っていけば1匹10円で買い上げてくれてたそうで、つまりその農家さんは労せず防除作業をしていたのだなあ。