夏の終わりの始まり。

夏の終わりの始まり。

2024-08-21

熊野の花火の帰り道、街灯に浮かぶ草むらからリーンリーンと鳴く虫の声が聞こえていました。
夏の終わりの始まりです。

とはいえ昼間はまだまだ暑くてクマゼミの声も元気、相変わらず雨は降らないし、秋の気配と言うには程遠い気もしますが、おそらくあと3ヶ月もすれば両手をポケットに入れて肩をすぼめているはずです。

そして「極早生みかん」の収穫まであと2ヶ月程となりました。

夏の盛りからみかんの実は昼間の萎びと夜の張りを繰り返しながら少しづつ生長し、果汁を少しづつ溜め込んでいます。

生育具合を知るために8月に入る頃から定期的に糖度チェックをして過去の生育と比べています。
梅雨明けから8月にかけてしっかり糖度が上がっていると美味しいみかんができるので、10日に一度の計測はちょっとドキドキです。

今までの計測からいうとこの時期は10日で糖度が1度上がるのが最大値っぽい。ということは8月1日時点の糖度が高いほど仕上がりに期待が持てることになります。

なので8月1日時点の糖度が昨年より低いと慌てます。今までの管理に間違いがあったのではないかと頭かきむしって髪引きちぎりながら考えるわけですが、最大の要因がお天気なのでだいたいはどうこうできるものでもないし糖度を急上昇させる魔法は存在しないので、お天道さんに向けるお祈りに一層の力を入れて粛々といつも通りにやれることをやっていきます。

ちなみにみかんの糖度というのは高いほど美味しいというものではなく、あくまで生育途中の観察用の数値と考えています。

実際、13度より美味しい11度のみかんなんてのがザラにあるので、「このみかんは糖度が〇〇度あるので美味しいです!」と言わないようにしています。そもそも糖度計自体が通販で買った安っすい代物だし。

その代わりに私個人の主観に基づいた「甘み・酸味・旨味」を総合して「食味レベル」として表示していますので、これをお買い求めの際の目安にしていただければと思っています。

私の主観を信用するかしないかはあなた次第です!

ということですw

マルチ栽培。

実際は8月1日時点の糖度が8度だとして60日後の収穫時の糖度が14度になるかと言えばもちろんそんなことはなくて、雨や気温や日照や着果数や糖分生成のための蓄積養分なんてのが複雑に絡んでくるので、途中で足踏みしたり逆に下がってしまったりなんてことが普通に起こります。

それを防ぐ手立ての一つとして「マルチ栽培」という手法を取っているわけですが、、、

「マルチ栽培」について詳しくはこちらで→

糖度が上がるのを妨げる大きな要因が水なので、とりあえず雨を吸わせないというのがマルチ栽培の目的です。
「栽培」なんて大袈裟な言い方をしていますが、要は地面にシートを敷き詰めて雨が地面に染み込まないようにするだけのことです。

けっこう大変な作業ではあるのですが、当地方は雨が多く、特に栽培期間の短い「極早生みかん」はこれを敷く敷かないで仕上がりの味に結構な差が出てしまうのですね。

私が就農した時には当園でも既に導入されていたのですが、当初は「マルチをすれば糖度が上がる」なんて教えられていたのですね。

んじゃあ敷いている期間が長ければ長いほど糖度が上がるのではないのか!?なんて素人考え丸出しで、他の人より抜きん出てやる!なんて意気込んで梅雨時の雨を入れないように5月くらいから敷いたりなんかしてみたわけです。

当然生長妨げて小玉ばっかりになってね、樹が枯れちゃったりしてね、まあ、美味しかったんだけどダメだよねそんなことしちゃ。

ってことになりまして。

んでまあ、梅雨明け後の乾燥で十分糖度が上がることに気がついて、逆に梅雨時は雨をしっかり入れといた方が良いことにも気がついて、7月下旬から敷くようになって、一周回って他の人と同じやり方に落ち着いたんだけどもね。

5月に敷いてた時より格段に暑いしただでさえ小さな目が反射光でショボショボだしで、あの頃は中労働だったのに夏場にやるのは重労働だなぁなんて独りごちりながら2週間ほどかけて敷いていくわけですが、ここ数年は梅雨明け後に全然雨が降らないわけで、「マルチ要る??」というような状況ではございます。

まあ、今は要らなくても雨が降れば必要になるので準備はしておかなきゃいけないわけで。

結局は「シートを使って水分を抑制して糖度を上げる」から「収穫前の雨を防いで糖度が下がるのを抑える」という風に考え方が変わりましたね。

というわけで今のところはやってもやらなくても同じなマルチ栽培ですが、一度雨が降れば「やってて良かった~!」ってなことになるので、とりあえず雨ください。

降りました!!ヽ(=´▽`=)ノ

でも「やってて良かったぁ~!」とはならず、

この一晩だけの雨なら「土に入れてあげたかった…」

でした。

勝手なもんです。

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