2016年3月9日(水)
昼間の作業中に上着を脱ぐことが増えてきました。この時期は気温というよりは体に直接日光の当たる場所だけが暑くなってきます。
同じ体勢を続けているとそこだけ汗ばみ、体の向きを変えるとそこだけ冷えてくるというちょっと厄介な感じです。
先日も「背中だけ暑っちーなあ。」とか思いながら剪定作業をしていたのですね。ほいで日差しを遮る雲の居場所を探すためふと顔を上げると、自分のいる畑から一段高いところにある家の庭からこちらに向かって手を振る人の姿。
若い女の人でないことにひどくひどく落胆しつつも、めったに来客のない北東農園においては、それが作業ジャンパーを着たおっさんでもちょっと嬉しかったりするわけです。
お:「まいど~」
私:「おぉ、まいど。なにしに来てん。」
さすがに満面の笑みを浮かべて出迎えるのはあれなので、少しトーンを落としつつ。
お:「不知火の様子どうなってるんかな思て。」
私:「うちのはいつも3月の最後くらいやん。」
この作業ジャンパーのおっさん、出荷先の市場の人です。ちなみに私よりずいぶん年下(たぶん)なので、「おっさん」は違和感があるので今後は兄さんと表記。
ほかの人を「にいさん」と言うと、自分のおっさん度が際立つような気がしてなんだかちょっとあれだったので、「おっさん」と言ってみただけです。
兄:「不知火が市場に全然出てけーへんのよ。」
私:「なんでまた?。」
兄:「あれこれあれこれ・・・」
私:「ふーんふーん。」
兄:「どれそれどれそれ・・・」
私:「ほへーほへー。」
かい摘んで言うと、この地方全般の不知火が超不作でしかも小玉ばっかりという事態になっていて、おそらくそれは天候が原因ではないか。
なので出荷してくれる生産者を探して歩いているのだ。
ということ。
北東農園の不知火事情。
- 5月に雨が少なくて樹勢の激下により大量の落果に見舞われた。
- その後6-7月は、梅雨というよりは雨季と呼んだほうが正しいのではないだろうかというくらいの長雨により樹勢は回復したものの、一度落下した実は再びくっつくことはなく、肥大も進まず。
- 大量の落果があったため、小玉傾向だったにもかかわらず摘果を躊躇。
- 夏場の渇水時、梅雨の長雨が頭に残っていて潅水を躊躇。
- その後減らした潅水量の影響で、再び樹勢の低下からの今度は「果皮障害」誘発。
不知火の果皮障害というのは、果実の表面にシミのようなものができ、それが時間とともに大きくなったり腐敗したりするものです。健康状態の悪いものほどできやすいとされています。
というような話を市場の兄さんにしたところ、ほかの農家さんもだいたい同じような内容らしい。
兄:「でも酸の抜けだけは早いんだよねえ。」
私:「・・・?・・・早いの?」
兄:「すんごく。」
収穫は3月末のつもりだったので(このあたりは「不知火はいまだ樹の上に。」で)完全ノーマークでした。
私:「ちょっと見に行こか。」
見に行くと行っても歩いて1分弱、左に曲がったあと右に曲がれば到着です。
平均的な出来栄えであろうものをひとつ切って手渡します。
バリバリ!! ミシミシ!! ガシガシ!! ムシャムシャッッ!!!(表現に多少誇張あり)
私:「どお?」
兄:・・・むしゃむしゃ・・・
私:「・・・ですか?・・・」
兄:・・・・・ごくん。
私:「・・・」
兄:「・・・出そ!」
私:「 ? 」
兄:「すぐ出そ!いま出そ!!はやく出そ!!!」
私:「はい!わっかりましたっ!!」
というわけで目下只今、鬼のように収穫しつつ、販売ページを鋭意準備中でございます。
週明けの14日頃から販売予定です。よろしくお願い致します。