2016年5月9日(月)
ミツバチの写真を撮ろうと思い、スマホを掲げて畑の中を追い掛け回していたら、けつまずいて転びました。
転んだ際、みかんのでっかいトゲが膝に・・・
泣きっ面に蜂 笑
さて、前回記事「花の満開と風」の続きです。
柑橘類では、開花期に訪花害虫用に「ネオニコチノイド」(以下ネオニコ)系殺虫剤を散布します。(訪花害虫というのは、花に集まる昆虫の中で果実に害を与えるものを指します。)
このネオニコ剤については、害虫と同時に有害ではないミツバチへの影響が懸念されています。
開花時期にネオニコ剤を散布することにより、近くにあるミツバチのコロニーが消失する蜂群崩壊症候群(CCD)の報告が世界各地で出されているため、EUでは暫定的な禁止措置を取りネオニコ剤の再評価を行っています。
予防原則と対応措置
このEUの措置は「科学的根拠が乏しくても、影響があると目されることには予防的な措置をとるべき。」という予防原則に基づいています。
それに対してEUのような規制を行っていない米国は、「ミツバチの大量死は確認されていない。CCDが問題なのであって、原因はさまざまな要因が合わさっているものであり、農薬の規制だけで解決するものではない。」としています。
日本ではどうなのかというと、やはり規制は行われていません。
なぜ?
なぜEUでやっているのに日本ではやらないの?
我々の国は利権と汚職に蝕まれているのだ!
子供とミツバチの命を守れ~!!!
しかもそんななか、厚労省がほうれん草へのネオニコ残留基準を緩和を発表!!
なんだか難しい話になってきました。
わたしはちゃんと話をまとめられるのでしょうか・・・
なぜ日本では規制をしていないのかということについては、
- 規制を行っていない米国同様、ネオニコ剤が直接ミツバチに影響を与えている事実が確認できていない。
- ネオニコチノイド剤にも種類があり、ミツバチへの影響も違いがある。EUでもすべてのネオニコ剤が禁止されているわけではない。
- 薬剤の使用方法にも違いがあって、ヨーロッパで明確なリスクあるとされた種子への直接処理は日本では行われていない。
- 日本では大規模なCCDは起きていない。
ということらしいです。
日本の対応
ただ、農薬が直接原因と思われるミツバチへの被害報告も寄せられているわけで、これに対しては自治体、JA、農家、養蜂家が協議をすることにより、
- JAは農家に対してミツバチへの影響の少ない薬剤を使うように指導する。
- 農家が農薬を使う場合は養蜂家に連絡する。
- 養蜂家は農薬の影響が収まるまで巣箱を移動させる。
など、いたって当たり前の工夫をして対応しています。ここらへんがいかにも日本的です。
ネオニコ剤を禁止してミツバチの数がはたして増えるのか?
薬剤をそれまで使っていた、より人へのリスクが大きいとされる有機リン系に戻すのか?
はたまたすべての「すべての農薬は毒である」という考えを受け入れて100年前の生活に戻すのか?
これ絶対まとまらんやつやん・・・
そもそも論
農薬というものについての私の考え方は
で述べておりますのでご参考までに。
そもそも「ミツバチがたくさん飛んでいるから人間は安心できるのです。」
というのは人間の安全をミツバチに担保させているようで違和感があるのだよなあ。
野外で花が少なくなっているから見ないだけで、総数としては大して変わっていないという報告もあるし、新しい研究報告によるとダニの寄生がミツバチの減少の一番大きな要因であるとされているし。。
化学的な合成方法による農薬が開発されてから100年足らず。
その間に発達したのは、「より安全で環境負荷の小さくなる物を作りそれを使いこなしていく。」という考え方だと思います。
次々と問題を見つけ、それを解決していくのが科学と人の役割です。もっと学び続けなければいけないのです。
と思うのです。
まとまった?
そんななか
最近、韓国の加湿器除菌剤が問題になっていますが、あるニュース番組の中で解説者(科学ジャーナリストと紹介されていました)が
「この除菌剤の成分であるポリヘキサメチレングアニジン塩酸塩(PHMG)は農薬としても使われていて、少量であれば皮膚に付着したり口に入っても毒性は少ないのですが、呼吸などで肺に入れば重大な疾患を招く、いわゆる殺虫剤のようなものですから加湿器に入れるなんてもってのほか・・・」
そもそもPHMG農薬ではない。工場などで洗浄用として使用されるものとのこと。ちなみに噴霧での使用は禁止されています。
しかも殺菌剤なのに殺虫剤のようにって、いったいなんやねん。
こんな話を、しかもニュースで聞かされると、何らかの思想に基づいて発言しているように思えるわけで、間違わずに正しく考えるって、ものすごく難しいことなんだなあと思ってしまうのです。