樹上完熟と貯蔵熟成。

2017-04-06

2017年4月9日(日)


遅れていた桜の開花が(あ、上の写真は庭先の桃です。笑)やっと進んできたと思ったら、これから数日間の雨予報。

ゆっくりと咲いた桜は長持ちするらしいので、もうしばらくは雨に負けずに咲いていてほしいものです。

収穫のタイミング。

只今販売中の「不知火」は完熟させてから収穫しています。

収穫時期が近づくと頻繁に足を運びいくつも試食を重ね、食べ頃と判断してから収穫をしています。

「樹上完熟ですから美味しいよ~ icon-music 」

なんて言っておりますが、なんでわざわざ樹上完熟なんて言葉を使うのかというと、樹上で完熟させない方法もあるからなのですね。そうすると

「熟していないのに収穫するの?なんでそんなことするの?青いの?固いの?美味しくないでしょ!!」

って思うよね。(思わなくても続けて読んでね。)

貯蔵熟成。

「不知火」などの中晩柑(温州みかん以降の柑橘類)は生育期間が長く、冬を越すことでさまざまなデメリットが生まれるため、完熟する前に収穫をして貯蔵する方法を取ることがあります。

貯蔵する理由
  • 降雪や低温状態が続くと品質が低下する。
  • 鳥の捕食被害が増える。。
  • 長期間果実を成らせていると樹が弱ってしまう。
  • 中晩柑は比較的果皮の強いものが多く、長期保存が効く。
  • 貯蔵中に熟成が進み食味が向上する。

中晩柑類(一部の温州みかんも)の特徴として、保存中に熟成が進むという特性があります。

腐敗しない条件下であれば、熟成が進むほど糖度が上がり、酸味が分解されて味がまろやかになります。そして貯蔵の方法によっては樹上に成らせておくよりも食味を上げることが可能となります。

というようなことから一概に「樹上で完熟させている方が美味しいよ~ icon-music」ということでもなかったりするわけですね。

樹上完熟の理由。

そうすると逆に「なんで貯蔵しないの?」ということになりますが、北東農園では

樹上完熟の理由
  • 低温や凍結被害をうけるほど気温が下がらない土地柄。
  • 長期貯蔵のできる施設環境を持ち合わせていない。
  • 採れたての食感が好き。

北東農園でも数年前までは2月下旬収穫(これでも遅い方)で、2-3週間保管(短い方)したあと出荷していたのですが、沢山の廃棄を毎年出し続けていたのですね。

つまり糖度を上げるために肥料を減らして作った健康状態のあまりよろしくない状態の果実を、気温や湿気の影響をモロに受けるトタン張りの掘っ立て小屋に置いておけばそりゃあ腐りもするわなあ。ということです。

そして「不知火」栽培を諦めることも考慮に入れながらの「最終手段的樹上完熟方式」の試行となったわけです。つまり「倉庫で腐らせるくらいなら樹に成らせたままにしてみよう。」ってことです。

その結果、腐敗果の減少と狭い倉庫での窮屈な作業からの開放を手に入れることができ、今後の不知火栽培の道筋を見つけつつ、同時に味を下げずに健康状態を上げていく施肥設計や、品質を均一化するための剪定といった栽培方法の構築などを行っている真っ最中です。

ただ、今はその過渡期ということで収穫量がとても少なくなっております。
10a当たり数百kgという収穫量は、採算度外視というよりはほとんど破綻寸前状態です。

お客さんの注文に充分お応えできていない心苦しさを感じつつも、数年掛けてやってきた剪定による大幅な樹形改造を終え、今年から収穫量が上がっていく予定に期待をしている次第です。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。