2022-03-29
寒かったり暖かかったりが日ごとにころころ変わっております。皆様におかれましては風邪などお召になりませぬよう、お体にお気をつけてお過ごし下さいませ。と、結びの挨拶のような書き出しで始めてみましたが、桜の開花の便りを聞く頃になるとみかんの芽も少しづつ膨らんできます。気分が少し浮かれてくるのです。
芽吹く直前が柑橘苗木の定植好適時となっていて、ちょうど雑草がはびこり出したり病害虫を意識したりお彼岸だったりが重なってくるので、なにかと気ぜわしい季節でもあります。
春は始まりの季節と言いますが、みかん農家にとっても新しい苗木を畑に迎え入れる出会いと始まりの季節です。
新しく苗を植えるというのは農家にとっての意気込みそのものです。たくさん植える人ほどその意気込みが強いということになります。
古くなって生産性の落ちた樹や、利益の取れない品種から有望品種に更新して利益を上げようという魂胆ですが、ただ、新しい品種に植え替えたとしても果たして自分の畑でちゃんと育つのか、美味しくなるのかたくさん成るのかという心配事を抱えながらの取り組みとなります。
しっかりとした技術を持ってこそ品種を活かせるというわけですが、その技術は品種や土との相性などによって大きく変わるため習得には時間がかかります。
まず試験的に少量を導入していろんなことを試し、安定した品質を連年生産できるようになってから本格導入というのが一番確実な方法ではありますが、いかんせん柑橘の場合は時間がかかるわけで、悠長に連年安定生産の技術力を身につけるより、増産した方が手っ取り早いということに気がついたのがやっと昨年。
ということでやって来ました例年の倍量の苗木! 長い前置きでした。
予定変更。
昨年注文していた「モロ」50本と、試験栽培に15年もの時間を要した挙げ句にやっと増産体制に踏み切った、温州みかんの「尾崎中生」120本。
「モロ」はもう少しあっても良かったのですが、あまりメジャー品種ではないので苗木の確保が難しく、とりあえずお付き合いのある苗木屋さんが他の苗木やさんからも探して集めてくれてなんとか50本。
これをできるだけ早く成長させて初収穫に持ち込みたい!
んだけど・・
苗木の育成には赤ちゃんを育てるような丁寧が要求されるわけですが、ここで災いするのが持ち前の大雑把な性格。
だいたいは手入れを怠って栄養失調を起こさせたり虫にかじられたりで、通常3年で初成りを迎えるところが4-5年掛かって、そのうえ初成りで枯らしてしまったりと、育成には圧倒的に自信を持っていないわけですが、だからといって土と血液型のせいにしていても埒が明かないわけで。
大雑把なりに指南書を読んだり自分でも色々と試したりした結果、いきなり地植えせずに管理のしやすい肥料袋での「大苗作り」に変更です。
伐採して抜根してから方針転換をするというね。。
土地をムダに一年遊ばせることになったわけです。。
もうね、やってることがとっ散らかっておりますが、、
変えた方針は二度と変えないつもりではあります。。。
苗木は乾燥しないようにビニールで包まれた状態で届きます。品種ごとに束ねられていますが、識別は括り付けられている品種名の書かれた荷札に頼ります。うっかり混ざってしまうと大変です。
根っこを乾燥させないようバケツに水を張って待機させます。植え付け時に使う土は出来るだけみかんが植わっていない新しい物を使うほうが良いのだけど、手配が間に合わなかったのでピートモス(コケ類などを乾燥させたもの)と苦土石灰を既存の土の混ぜ込んで1週間ほど寝かせたものを培土としました。
植え付けるのは毎年大量に出る肥料袋。土を節約するために袋を細く加工して排水穴を開けてあります。
(良い土を使わなかったり量をケチったりするから、ちゃんと育たないのだという自覚はあります。)
根っこ(モロ)はこんな感じになっています。細かい根がたくさん出ている方が生育が良いです。ただ昨今の異常気象は苗木にも影響を与えていて、プロの苗木屋さんでも育成に苦労されているようです。
袋に土を入れて苗木を立てて根っこが全部隠れるようにまた土を入れて、雑草抑制にビニールシートを張った上に並べていきます。
そのあと順次水をたっぷり入れて土を締めれば出来上がりです。
合計170本が約2日で完了です。
これから1年、生育度合いによっては2年ほどかけて、水やりや施肥と病害虫の防除をしながら骨格となる枝を作っていきます。
そしてそのあと正式に地植えという段取りになります。
苗木をまとめておくことで集中管理ができる手筈です。
あとは自分次第です。