境界線。

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2025-07-19

ここにきて半月分の溜まった雨をぶちまけるような雨でした。あからさまに梅雨の終わりの様相を呈しておりましたが、梅雨は明けていたと思うんだけどなぁ、、たぶんあとから修正が入るのだと思います。何年か前にもあったからね。

年明けがあとから修正されたらちょっとムッっとしますが梅雨明けなら別に構わないわけで、おかげでみかんが元気を取り戻したことに安堵し水やりの手間がなくなって大いに安堵している次第でございます。

みかん、特に生育期の短い極早生みかんにとっては7月下旬頃に梅雨が明けて8月中旬頃まで晴天続きというのが理想なのですね。

今年のように早くから晴れられると樹勢(樹の健康状態)の維持に苦労し、逆にいつまでも雨が続くと品質が上がらなくなる恐れが出てくるので、できれば全て平年並みでお願いしたいなと思うわけですが、まあなにせお天気はお天気屋さんですからそんなに上手くいくはずもなく、そんな中で上手に切り盛りしていくのがみかん農家の仕事と言えます。

でも200mm超えはちょっと多かったなぁ…

ちなみに収穫期の遅い早生みかんや中晩柑につきましては極早生種ほどシビアに考えなくても良いので気は楽です。

というわけで雨が上がったので本格的な夏が来る!

というか朝起きたら来てた!

日差しとクマゼミに起こされた!

空調服まだ出してない!!

このあとは。

梅雨明け(7月下旬頃のね)を境にみかんは成長期から徐々に成熟期に移行する準備時期に入っていきます。

ここまでは栄養をいっぱい溜め込んで実を大きくする期間でしたが、梅雨明け(例年並みのね)から収穫までの期間は溜めていた養分を使ってもうしばらく実を大きくしながらも果実に甘みを送って成熟に向かっていきます。

みかんの樹が「子供達も大きくなってきたのでそろそろ旅立ちの準備をして、立派な社会人として図体だけじゃなく中身のしっかりした人間(この場合はみかんね)にしていかなきゃ!」っていう気分になる時期ということです。

生産者の目論見としては子供達(みかんのことね)の旅立ち準備に拍車をかけたい。そのためには「適時の梅雨明け、その後の晴天、適度な温度、たまに雨。」が必要なんだけどもそこはそれお天道様の気分次第なのでしかたないとして、具体的にやることとすればマルチシートで水分を調節するとか、日陰の実を吊り上げて陽が当たるようにするとか、病害の発生に注意を払いながら、果皮を強くしたり甘みを増したり成熟を早めると言われている養分をよく分からないながら葉面散布するとかしながら「美味しくなれ~!もっと甘くなれ~!美味しいみかんは高く売れるねん~!!」という本心をみかんの樹に伝えていきます。

で、今どんな感じ?

ということで現在の生育状況の報告です。

「極早生みかん」(紀南1号)

横径:40mm前後
現時点で例年より少し着果数が多くサイズが大きめかなという感じです。通常は着果が多いとサイズが小さくなりがちですが今年はちょっと様子が違います、どうしたのでしょうか?
これからさらに大きくなり、それにつれ果皮のきめが少しづつ細かくなっていきます。

切ってみると果肉に少し赤が出てきています。さすが極早生です。
ただ、甘いかというと全然そんなことはなく、酸っぱみ大勝ちで食べられたもんじゃありません。これから葉っぱで作られた糖分が実にどんどん運ばれて甘くなっていくはずです。どんどん作ってどんどん運んでほしいです。そうであってほしいと願います。

「中生みかん」(尾崎)

横径:38mm前後
こちらは同じ温州みかんの中でも12月収穫予定の中生(なかて)みかん。葉っぱの緑色が濃いのが特徴です。緑というよりは黒に近い色をしています。栽培面積が大きくなり昨年の約2倍ほどの収穫量が見込まれる自分の中の話題の品種です。

極早生みかんに比べ生育期間が2ヶ月ほど長い分、中身の生育もゆっくりと進んでいるといった感じです。当然のことながら極早生よりさらに酸っぱい、というか苦い。w
美味しく仕上がれば年末年始用にお届けできる予定ですが、今のところは仕上がりの味の予想は全くつきません。

「不知火」(しらぬい)

横径:43mm前後
「デコポン」の名称でおなじみ春柑橘の王様。みかんよりゴツゴツしていて特徴的なデコもあるので(写真では見えてないw)ひと目で不知火だと分かります。
いつも肥大に苦労しているのですが今年はちょっと大きめです。極早生みかんといい、何かあったのでしょうか?

熟期が来春ということでまだ幼児期と言えます。水を欲しがる品種なのでこれからの時期は乾燥に気をつけて管理していきます。

「ブラッドオレンジ」(モロ)

横径:43mm前後
樹も少しづつ大きくなり着果数も増えてきました。今のところは十分な収穫量が見込めそうです。
果皮が固く丸い形なのでよく転がります。摘果作業中に踏んづけては転びそうになるちょっと危険な品種です。

こちらも来春収穫なので果汁はまだ出てきません。というか固くて絞れません。
暑さに強い品種という触れ込みだったのですが、さすがに昨夏の気候が厳しすぎて樹がちょっと弱っています。
今年は水やり回数を増やして注意しながら見守っていく必要がありそうです。

「はるか」

横径:38mm前後
後期に肥大が進む性質があるので今は他の品種より小さいです。着果数は例年並みかちょっと少なめ。
特徴的な輪っか模様もすでに出来ています。

果皮が分厚いですね。中間の白い部分も多くて種もびっしり詰まっています。食べるところが少なそうですが大きくなる品種なのでこれで大丈夫です。
固くて当然果汁なんて出やしません。
こちらも水やりの手を抜いていたら樹が弱ってしまいました。夏場の管理をしっかりと!

「レモネード」

横径:40mm前後
レモンなので縦長です。横径はみかんと同じくらいでも遥かに大きいです。しかもたくさんなっている割に昨年よりも大きめです。
初生りを迎える樹もあるので収穫量としてはかなり増えると思います。

なぜか種がちょっと赤いです。花が紫色だったりするのでこんなもんなのかな。
レモンなので試食する気にもなれず。

全体的に見ると弱っている樹が散見されますが、全品種において着果量多め肥大順調という感じです。
肝心の味の方は極早生みかんを含めてまだ想像すらできませんので、とりあえずはしっかりと管理をして、今年も厳しいと予想される夏を乗り越えることに専念します。

10月収穫の極早生みかんについては、8月に入る頃から徐々に味が出てきます。

今までの苦労が喜びに変わるか落胆に落ちるのか。

お楽しみの時間が始まります。

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