目に見えない敵に。

天候の影響によるなどと申しておりますが、、

2022-12-26


今年もあと1週間を切り年末の慌ただしさが増すなか、皆様におかれましては風邪などお召になりませんようお気をつけてお過ごしいただきたいと思いながら、私めといえば畑の中で売り物にならないみかんの切り落とし作業にいそしんでいます。

先日販売中止のお知らせをした「尾崎中生みかん」です。本来ならこのみかん、お客さんの家で紅白歌合戦のお供としてコタツの上に置かせてもらってるのになぁと、夕暮れの冷たい風の中で今年最後の丹精込めたはずのみかんを切り落としていると、なんとなく切ない気持ちになったりもするわけですが、とりあえずは来年上手く行くように、そしてとにかく栽培面積を増やすことを課題として取り組むのだと、毎年同じこと言ってるような気がしないでもないですけど、決意を新たにしております。

美味しいみかんを届けるために。

みかんの発送時には「味のハズレを入れないこと」と「腐り(カビ)みかんを出さないこと」に注意を払って箱詰めしています。

味に関しては「栽培管理」「収穫」「発送」まで全てを独りでやっているので、ある程度精度を高く保てているのではないかと思っているのですが、(そんなことだから収穫量や販売数が上がらないのですが…)いくら気をつけていても、たまに「腐ったみかんが入ってた!」とのご指摘を頂くことがあります。

箱に腐っているみかんを入れることはもちろんないのですが、目に見えないくらいの小さな傷でも輸送の1-2日の間に一気に腐敗してしまう場合があります。
我々みかん生産者にとっては腐ったみかんなんて見慣れ過ぎてて、手で掴んだりカビ菌吸い込んでムセたりしても気にもしないのですが、食べる側からするとカビたみかんは日常的な風景ではないし、食べられないし気持ち悪いしで、

「金払ろとるのになんでこんな思いせなあかんねん💢」

というのが当然至極な感情となります。

お客さんからすると当たり前ですね。

そんな事にならないように最新の注意を払って箱詰めして、腐るなよ、絶対腐るなよ!!と念じながら発送をしているわけですが、

やはり腐るわけで・・・

ご指摘を頂く方の他にも「みかんなんて箱で買えばちょっとくらい腐りも出るでしょよ。」と済ませている方や、「もう二度と買わないから連絡しない!」という方も必ずいると思われ、「一件の腐敗連絡の裏に十件の腐敗あり!」くらいに重く受け止めて、気を引き締めて箱詰めに当たるわけですが、

やはり腐るわけで・・・

・・・

箱に同包しているリーフレットには「なまものですので稀に痛みが出る場合があるけどそこは了承してね。」とか書いてありますが、これはクレームが来ないように予防線を張っていることになるわけですが、しかしやはり1個の腐敗果で再発送というのは経営上難しく、じゃあ何個腐っていたら取り替えてくれるのか?とかも曖昧で、結局お客さんの心持ち一つに委ねているというズルい文言だなぁと思ったりもするのですが、ほかに良い言葉が浮かばないのでご理解を頂くほかないのはなんとも心苦しい。

心情としては「腐敗果が1-2個ならどうか勘弁して下さい」「5-6個なら取り替えます」「でも連絡は届いてから3日以内にお願いします」という感じです。こちらに出来ることは「とにかくお客さんを不快にさせない!」に尽きます。
ただ、いくら注意を払っているつもりでも気は緩んでくるものですから、「腐ったのが入っていた!交換してくれとは言わんが気をつけろよ!!」と言っていただけると気が引き締まりますので有り難いなと思う次第でございます。

勝手な話しで誠に申し訳ないです。。 m(_ _)m

ということでここから本題です。

みかんはなぜ腐るのか?

腐りのメカニズムを解説してもあまり面白くない(と言うかできない)ので、そちらは各自お調べいただくということにして、生産者の立場からの取り組み(と言うか言い訳)と、ご家庭で出来る腐敗予防対策を説明していきたいと思います。

まずみかんが腐敗する条件としましては、

  1. カビの元になる菌がある。
  2. みかんの皮に傷がついている。
  3. 高い温度。
  4. 高い湿度。

などが挙げられます。

この内のいくつかの条件が揃うと腐敗が始まります。

1.カビの元になる菌がある。

カビ菌にはいくつかの種類がありますが、目に見えないけれど通常的に空気中で漂っていると考えて良いと思います。当然菌の餌となるみかんにもたくさん付着しているはずですが、みかんが自ら分泌するワックス分によって果皮が保護されているため、通常は中に侵入することが出来ません。

2.みかんの果皮に傷がついている。

屋外で自然に晒されているみかんは、虫や鳥に噛じられたり強風によりダメージを受けることがあります。
この傷口からカビ菌が侵入して腐敗が始まります。特に台風に見舞われた場合などは数日経ってからおびただしく腐敗果が出たりします。
また果実の成長過程で果皮に亀裂が入ったり、成熟後期には果皮の老化に伴うひび割れなど、様々な要因によりカビ菌の侵入を許すこととなります。

鳥に突かれる。
挟まる。
割れる。
皮が浮いているから浮皮。

鳥害や台風といった外的要因に対しては、ある程度の対策とある程度の諦めで対応します。
「割れ」「浮皮」に関しては、ともに果肉と果皮の生長バランスが崩れることによって起こる現象です。
夏場から秋にかけての生長肥大期に果肉の生長に果皮が追いついていないと割れます。特に日照りのあとの大雨などで果肉が一気に肥大すると、多数の「割れ」が発生します。

「浮皮」は「割れ」とは逆に果肉の肥大が止まっているにも関わらず、果皮の肥大が止まらないと起こる現象です。
浮皮の要因としては、成熟期に気温や湿度が高いと発生しやすく、また養分のバランスによっても起きるとされています。
昨今の気象によって発現率が高まっていて、食味の低下や腐敗率が高まるため、みかん栽培においての最重要課題となっています。

ただこれら樹に成っている状態での腐敗や、目に見える大きな傷の場合は収穫時に排除しますし、そこで見落としがあったとしても選別や梱包の過程で排除できます。

厄介なのは目に見えない小さな傷で、まだカビ菌が付着していない、または侵入しているにも関わらず増殖が始まっていない場合です。

かさぶたは大丈夫なのですが、
目に見えないくらいの小さな傷が。
時間とともに柔らかくなってきて、
翌日には!Σ(Д゚;/)/

この他の「3.高い温度」「4.高い湿度」に関しては、「雨の日は梱包作業をしない」くらいしか対策を採る術がありません。(これが到着日指定をお断りしている理由のひとつです。)

「傷」「カビ菌」「水分」の3つが揃った状態で箱の中に入れられ密閉された場合、ほんの1-2日で爆発的に増えます。この時すでに箱の中は菌が充満していて、急速に腐敗が広がっていくといった状況が起こります。
いわゆるこれが「腐ったみかん」の喩えに使われる所以となっています。

腐敗果を出さないためには、この小さな傷を見落とさないように出来るかが鍵となります。一つづつ手に取ってくるくる回しながら感触や目視で選別していきます。
一箱で約60個、10箱で600個、100箱で…(めったにありませんがw)、選別しているとだんだん集中が切れてくるので、そのたびにお客さんの顔(ほとんどの方はお会いしたことありませんが)を思い起こしたり、頂くお金のことを考えたり、怒られた時の気持ちを想像したりして、なんとか集中を保つ努力をするわけですが、そもそもそんな事を考えている時点で集中できていないわけですから、そんな時は一旦作業を止めて流している音楽を変えてみたり、休憩したり、諦めて家に帰ったりします。

そんな涙ぐましい努力(自分で言うな!!)も虚しく、やはり腐る時は腐るわけで、、

ということですので私の気を緩めないためにも、みかんの腐り報告やその他お気づきの点などございましたら、お手数ですがご連絡頂けますと有り難いと思う次第です。m(_ _)m

みかんが届いたら。

届いた時はなんともなかったのに、日にちが経つと腐り出すみかんが出てきます。これは先ほど書いた果皮の傷が原因のほか、なまものゆえの成熟の進行(老化とも言います)によるものなので、避けては通れない現象といえます。(ここでエチレンガスとかプロリンとかの解説をしないところはさすが北東農園です。)

ただ、皆様のご家庭においても、みかんを腐り難くするいくつかの方法があります。

みかんが腐る原因としては先述した

  1. カビの元になる菌がある。
  2. みかんの皮に傷がついている。
  3. 高い温度。
  4. 高い湿度。

と同じです。

「家の中にカビ菌なんてないわよ失礼な!!」と思われるとは思いますが、やはり「あるのが通常」と考えていただいと方が良いかと思います。さらに気密性の高い住宅構造や暖房や加湿といったことが要因となりえますので、この条件を避けることがみかんの腐敗を防ぐことになります。
決して「みかん様」のために暖房をつけずに窓を開けておけ!ということではなく、暖房の効いたリビングや湿度の上がる台所での保管はできるだけ避けて下さいね♡ということです。

できるだけ日持ちのする保管方法としては、

  1. 腐敗果のチェック。
    まずは箱から出して腐敗果が入っていないか確認します。この時みかんを傷つけないよう1個づつ取り出します。
  2. 通気性の良いカゴなどに移します。
    みかんは呼吸をしています。常に水分や腐敗を助長させるエチレンガスを放出していますので、これらを箱の中で充満させないため通気性の良い所での保管が必要となります。
  3. カビの発生し難い所で保管。
    長期の保管には比較的低温で湿度の低い場所を選んで下さい。
    廊下や床下などの温度が安定している所では、みかんの味の変化も穏やかです。
  4. 果皮の柔らかいものから食べる。
    サイズが小さく果皮の硬いものは酸味が強めで日持ちがします。
    大きめで果皮が柔らかいものを先に食べることをお勧めします。
  5. できるだけ早く食べ切る。
    これが最も有効です。

腐敗果が出た時は。

もし箱の中で腐っていたり保管中にカビが発生した場合は速やかに取り出したあと、カビ菌を飛散させないためにビニール袋などに入れて処分して下さい。
目には見えなくても他のみかんにも菌が付着している可能性が高いので、柔らかく乾いた布やテッシュなどで拭き取って下さい。除菌スプレーなどを使用するのも有効です。(食品に使用できるものを使って下さい。)

以上が腐敗の原因や保管の方法ですが、思いつくまま書いたのでやたらめんどくさい感じになりました(笑)。

とりあえず腐敗果を出さないようにしっかりと選別してお送りしますので、速やかに食べ切って下さいませ!!
そして「無くなったから追加の注文だぁ!」と言っていた頂いた時に「あるよー!!」と言える生産体制に、早く、、していかなければ、、、

けっきょくここに行き着くm(_ _)m

皆様におかれましては、どうぞ穏やかな年末をお過ごしくださいませ。


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