北東のみかんとして。

北東のみかんとして。

2023-10-04

早いものでもう10月です。今年も残すところあと3ヶ月となりました。さすがに夜明け前には肌寒さを感じるようになり、掛け布団をタオルケットから夏用の薄布団に変えました。そして10月といえばみかん屋にとっては一年の努力が結果となって現れる時期です。

今年は仕事以外でばたばたすることが多かったので全体的に作業は遅れがちだったのですが、ここに来てなんとなく収まるところに収まりそうな、いつものところに着地出来そうな、そんな感じだけはしてきたところです。まあ、正確に言いますと諦めるところは諦めて細かい作業は端折って端折ってということですけどね。

この時期になると昨年の同じ頃の写真と見比べて色づきの度合いを確認したり、糖度のデータを比べて一喜一憂するわけですが、極早生みかん全体では昨年よりサイズは小さめで色づきは10日以上遅れていて、糖度は(色づきの遅れ分だけと思いたいw)1度近く低いといった感じです。
2021年との比較ではサイズ同等、色づき2週間の遅れの糖度は1度高めで、2020年とでは…

結局このあたりの要因は天気の都合が大半を占めていて、今までのデータと比べて一喜一憂というよりは精神的なダメージを自ら与えているだけですね。
サイズはともかくとして色づきが遅ければ色づくまで待てばよいのだし、味は美味しくなるまで待てばよいのだ。「お客さんちもうょっと待っててね。」と言えばいいだけなのだ。焦っても仕方がないのだ。と書いたら気持ちが落ち着きましたw。

北東農園の選別基準。

当園のみかんは基本的に完熟で美味しくなってから収穫するスタンスを採っているのですが、実際みかんを食べる人からすると、この「完熟」というのはいったいどういう状態を指しているのか、また「美味しい」はどのくらい美味しいのかが良く分からないと思います。

魚や野菜であれば「味」よりは「鮮度」が美味しさの大半を占めるのでまあ見分けがつきやすいと言えますが、果物の場合は「甘味」や「酸味」という食べてみないと分からない部分が多く、さらに「それぞれの好み」なんていうのも加味されます。

果物はその年の天候によって美味しさが大きく変わります。
陽射しが少なく雨が多い年は糖度が上がらず水っぽい味になるというのは知られた話ですが、みかんの場合は収穫直前の雨にすら影響を受けてしまうくらいデリケートな果物です。でも見た目は同じっていうのは大きな不安要素となります。

「美味しくなかったらどうしよう」という不安があり、その上ちょっとお高いイメージもあったりして、果物売り場の前で考え込んでしまうなんていう事になりがちです。

いや、みんなかどうかは知りませんが、、私自身は果物売り場で長時間固まってしまうことは多いです。その間にタイムセールのアナウンスなんか流れてきた日にゃあそっち行くよね。で、果物はまた今度ねってなるよね。。

そんな味への不安を払拭しタイムセールの誘惑に負けないために生産者はいろんな努力をして品質の安定化に努めるわけですが、なかなかお客さんの「ハズレを引いたらイヤだな」という気持ちを消すことはできていないのではないかと思います。。

このあたりは以前の記事でも書いていますので、良かったらヒマな時にでも読んでみて下さい。

美味しいみかんの見分け方→

産地によってみかんの味に違いはあるのか→

ブランド化はみかん産業の救世主となりうるか→

北東農園の当たりハズレ。

過去には「去年の方が美味しかった。」「昨年と違う品種?」「味が悪いのに値段が一緒なのはどういうことかっ!!」というご意見を頂いたこともありました。
自分なりに美味しく出来たと思い、自信を持ってお届けしたみかんに対してこのような評価を受けたことに申し訳ないという思いを込めながら、「いくら努力をしていても毎年同じ味のみかんを作るのは不可能なです。でもその中から私が「これなら大丈夫!」という基準をクリアしたものだけをお届けしています、決して美味しくないものをお送りしたわけではないのでどうかご理解戴きたいです!」

と説明をしたわけですが、初めて食べた北東農園のみかんがたまたまとびっきり美味しかった場合、翌年のみかんの出来が悪くないにも関わらずガッカリするという事態が起きてしまいます。

とはいえ「昨年よりは不味いです。」とも言えない。なぜ言えないのかというと、販売基準をクリアした「とびっきりではないが十分美味しいもの」をお届けしているからです。

このあたりの「美味しさをどう伝えるのか?」をいろいろと考えて、考え抜いた挙げ句に思いついたのが「食味レベル表示」です。

食味レベル表示

この「美味しさ」について明確な基準を持ち主観に偏らず客観的にどう伝えるかが大事になると考えました。(「主観」というのは作った本人による親の贔屓目と言うやつですね。)

  1. 北東農園独自の食味基準です。
  2. 収穫されたその年のみかんの美味しさを5段階に分け、味の平均レベルを表すことで購買の目安としていただくためのものです。
  3. 糖度はあくまで栽培上での目安なので表示はしません。糖度、酸味、旨み等を自分の舌で総合的に判断して決めています。
  4. 同一品種を対象としているため、同じレベル3でも「極早生みかん」と「早生みかん」では食味が違います。
  5. あくまで当農園内の独自基準で、他産地や他の生産者との比較ではありません。

食味レベル

味の目安

販売基準

1

美味しくない

販売しない

2

あと一歩

販売しない

3

美味しい

販売

4

とても美味しい

販売

5

とびきり美味しい

販売

と、こんな感じでまとめてみましたがたぶん良く分からない、、、

品質を揃える。

通常みかんの樹には数百個のみかんが成っています。
そのなかで樹の状態や枝の太さ、果実が成っている位置などによって、大きさや着色度合いや味がさまざま異なり、美味しいものから美味しくないものまで混在して成っている状態です。

品質を揃えるための栽培管理はもちろんのこと、収穫段階では美味しいであろうと判断したものを先に収穫し、着色の遅いものや味の乗りが悪そうなものは食味が基準値以上になるまでそのまま熟成させ、後日改めて収穫します。
さらにこれらを私一人で行うことで品質の安定を徹底させています。

当たりの取り扱い。

食味レベル2以下のいわゆる「ハズレ」を入れないことで「美味しいみかん」を保証しているつもりなのですが、販売基準を超えるレベル3以上のものについては区別なく入れています。

このレベル3以上を区別しないのは、目で判別するのが難しく、食べてみて初めて分かるものだからです。
そのため毎年お買い上げいただいているお客様にとってはどうしても「当たりハズレ」があると感じてしまうことになります。

つまりは

レベル2は箱に入れません。
平均的な出来栄えの年を食味レベル3とし、レベル4以上の個体は少なめです。
味の当たり年にはレベル4とし、とても美味しいみかんが多く入ります。
販売量的にいうとレベル3の年はレベル2の個体も多いため販売量は少なくなり、逆にレベル4の年はレベル2の個体は少ないため販売量は多くなります。

ということです。

レベル4の翌年にレベル3だった時の「買わない選択肢」の提示。

つまり「昨年よりレベルが低いんだったら買うの止めとこ。」という判断材料の提示です。

ここまでくどくどと説明しましたが、毎年お買い上げいただいているお客さんにしか伝わらないし、「毎年買ってるけど違いがよく分からん。」とも言われます。
独りよがりっぽいし判りづらいなあと自分でも思いますが、なんとなくイメージで捉えて頂ければいいかなと思っています。もしご質問があれば遠慮なくお問い合わせ下さいませ。

他の産地や他の生産者さんの作ったみかんの味について私が関知するわけもなく、ただ北東農園のみかんについて「ハズレ無し」をモットーにしてみかん作りを行っています。
もしよければ一度お買い上げ頂き、お客様の口で判断していただけたらなあと思います。

みかん買って下さい(*^^*)