2017年8月17日(木)
昼間の暑さは相変わらずで、セミは一瞬の静寂も許すまじとばかりに泣き喚いてはいますが、雲の形や、陽が傾くにつれ変わる虫の音が、少しづつ秋の気配を漂わせてきているような気がします。
昨々夜はそんな虫の音に混じって、1kmほど離れた所にあるお寺さんから太鼓の音が流れていました。
蔵国寺の盆踊り。
毎年楽しみに参加してたけど、独特の三拍子が難しくて踊りの輪の中に入れず、ただただ境内を走り回っていた子供の頃。
あと2ヶ月もすれば。
そうしてお盆が過ぎ17日の花火大会が終われば、熊野の夏の終わりが始まるのです。
「極早生みかん」の収穫まであと2ヶ月を切りまして、みかんの実は昼間の陽射しによる萎びと、雨や潅水による膨張を繰り返しながら少しづつ成熟していきます。
北東農園では8月に入ると定期的に糖度の測定をおこない、中身の成熟度を確認していきます。
この頃から果実内に糖が蓄積され、糖度が緩やかに上昇していきます。どのような条件に置いたとしても急激に跳ね上がるということはなく、最良の条件下でも約10日で1度(%)が最良の上昇率となっています。
” ただし、これは当農園内における「極早生みかん」の観察結果であり、他の農地、他の品種については知りません。”
ということは、現時点で糖度が6度あれば2ヶ月(80日)後には14度のみかんが収穫できる理屈になります。
糖度14度の極早生みかん。
生産者にとっては「夢見るみかん」ですが、そう易々と事が運ぶ訳はありません。実際に10日で1度、80日で8度なんていうのは、この間一滴の雨も降らないという気候条件が必要なわけで、「あるわけないじゃん」の例え話に使われるほど、あるわけがないことなのです。
これから秋にかけては秋の長雨や台風が間違いなくやってくるわけで、そのたびに10日で一歩も進まない!とか、逆に下がってるやん!!という状況が生じます。
ほぼほぼお天気まかせの露地栽培において人的に糖度を急上昇させる術のない中では、初期糖度をいかに高くしておくか。というのが重要なのですね。
というわけで「早期マルチ」だとか「断根処理」だとか「隔年結実」だとかの手法を駆使しているわけですが、なかなか「夢見るみかん」には届かないのだねえ。
何かを間違っているのか勘違いしているのか、はたまたすでに限界点なのかも分からないままですが、それが次作へのモチベーションにもなっているわけで、就農してはや十数年、一向に飽きずにやり続けていれるのはありがたいことです。
ちなみに現時点での糖度は6~8度くらいで例年並みです。
そういえば2013年産は「夢見るみかん」に一番近づいた年でした。数十年みかんを作り続けてきた親父様も「今までで一番!」と言っていたその年も、同じくらいの糖度でしたね。
その後少し低調な年が続くわけですが、それでも同時点での糖度は同じ6~8度くらい。
つまりはこれからのお天気次第ということです。
ちなみに現時点でのみかんを切ってみると、果肉がオレンジ色になってきています。ちょっと甘いけど苦味を含んだ酸味が勝ち過ぎていて、とても食べられる状態ではないです。