暖冬っぽい。

暖冬

2024-02-12

今年は雪が降ったりすることもなく足の指が霜焼けになることもなく、一年で一番寒い時期とされる新宮の御燈祭も過ぎたので、今年は暖かい冬だったなぁというそんな冬になりそうです。

そして今年はうるう年だそうです。子供の頃は4年に一度のうるう年といえば一日得するだのその日に生まれた子供は4年に一歳しか齢を取らないだのとオリンピックくらい盛り上がったものでしたが、今では「あっそう?」くらいの反応ですね。
感受性が衰えきたというか、つまらない大人になってしまったのかなぁというか、ちょっと淋しい思いもあったりするわけですが、たぶん単に飽きただけなんだろうなぁ。そういえば4年前も暖冬だったのでうるう年は温かいのかなぁ。

とかぼんやりと考えながら今年も改植の準備を進めています。

果樹業界では新しく苗木を植えるときに「新植する」とか「改植する」とかの言葉を使いますが、「新植」というのは新しく作った畑に苗木を植える「土地を購入して新しく家を建てる」ということで、「改植」というの今まであった樹を植え直す、いわゆる「住みながらリノベーション」ということになります。

柑橘は苗木を植えてから初収穫まで3-4年を要するため、改植すると今まであったその場所からの売り上げがしばらくは0になります。
売上がなくなるだけでなく肥料や防除薬剤等の経費が成木以上に掛かるため、いっぺんに植え替えると住む所がなくなり生活ができないという事になってしまいます。そのため長期的な計画を立てた上で健全な品種で最低限の収益を上げつつ、少しづつ植え替えると同時に新しく収穫も少しづつ始まっていくという風に進めて行く必要があります。

現段階での北東農園の改植計画は

  • 3種類の「極早生みかん」品種を整理する。
  • 収益性の悪い「中晩柑」を減らして「早生みかん」と「中生みかん」の比率を上げる。
  • 樹齢の経った「不知火」の植え直し。

という感じです。

今年の植え替え予定としては、極早生種の「N日南(日南の姫)」に見切りをつけて「紀南1号(味一)」に、同じく極早生「大分」を「ゆら早生」にとなっています。

植えてから10年以上あれこれ試すも一度も販売基準に達したことがなかった「N日南」。改植を決めると手入れしなくなるわけで、手入れをしないと柑橘は1年で枯れてしまいます。

「大分早生」(名前に早生と付いていますが極早生種です)は古い品種で、最近の気候で成熟期を迎えると同時に果皮障害が激発。販売基準に達する割合(秀品率)が20%ほどしかなく選別に時間が掛かり過ぎるため、お客さんからの要望が高い「ゆら早生」に変更。

10年ほど前と比べると「ゆら早生みかん」が100本→300本「田口早生みかん」が20本→100本「尾崎中生みかん」100本→250本と順調に増えてきてはいるのですが、それ以上にお求めいただくお客さんが増えてきているので、あいも変わらず「極早生みかん」以外は供給が間に合っていないといった状況が続いています。

現段階での計画が完全に軌道に乗るまであと10年くらいの予定です。その頃には供給不足が解消するかもしれないし、お客さんがもっと増えてくれてあいも変わらずということになるかもしれないし、途中で頓挫するかもしれない。

しれないことだらけですがしっかりと務めてまいる所存に揺らぎはありません。頑張ってまいるのであります。

まあ、よく考えると計画的になんて言っておりますが、就農して20年近く毎年植え替えてるし、途中で計画変更してすでに2回目の改植なんていう場所もあったりして、なんなら親父の代からずっと植え替え続けていて、かのサグラダ・ファミリアですら完成間近だというのに、遺産的価値もないのに一向に完成する気配などないというね。全園地フル稼働なんて日は永遠に来ないような気はします。

「いつまで経っても埒が明かないなぁ、もうこの辺でいいかなぁ」とか思う日が来るような気もしないから気力はまだ十分ということなんだろうけど、「百姓は死ぬ前の日にも苗を植える」なんてことわざが特段ことわざでもなく実際にやってそうだなぁという気もしておりますね。

その間うるう年が数回はあるはずなので有意義に使いたいと思います。