品種を変えるということ。

持続可能な開発目標。

2022-02-02


今年も残すところあと11ヶ月!なんていう言葉が思い浮かぶくらい時間が経つのが速い。今年に入って防除と袋掛けしかやってないやんとか考えるとちょっと焦ったりしますが、今のところ作業は例年並みの進捗状況なので別に焦る必要はないのだと、さっき昨年の作業日誌見て気付きました。

とりあえず不知火への袋掛け(鳥よけ)が終わったので(結構な数がすでに食べられていたから、もうちょっと焦った方が良いんだけど)、春に植え替えをする所の伐採作業に移っております。

伐採作業。

柑橘は野菜と違って一本の木で数十年間收穫を続ける永年作物ですが、収穫は一年の内の短期間。長く付き合っていくものだけに品種の選定は慎重にし、そしてしっかり利益が上がるように大事に育てる必要があります。

そうはいっても数十年の間には虫に食べられたり病気になってしまったり、新しく出てきた品種に圧されたり、食べる人の嗜好が変わるなどして利益が上がらず、栽培を続けていくことが難しくなる局面にぶつかります。
まあ、儲からない樹はさっさと抜いちゃって新しいのに変えちゃおうぜ!!ということです。「サガマンダリン」さんさようならということです。

「サガマンダリンてなんやねん?」という声が聞こえてきそうな気がしましたが、こちらは私が就農する遥か以前に導入された品種で、当初は美味しさや珍しさもあって高値で売れたらしい。で、ここが商機と一気に増殖させた後に価格が下落し、よくある話なんだけど樹が古くなるにつれ味も落ちてきて、ある市場からは「どっか他のところで売ってくれやん?」とか言われる始末の品種です。

「今や幻の品種です!」とか言って売ったこともあったのだけど、なんで幻かというと簡単に言うと儲からないからで、栽培が難しいため今では名前を冠した当の産地ですらほとんど栽培していないらしい。
うちの場合、そもそもちゃんとしたサガマンダリンを食べたこともなければ見たこともないまま作ることにムリがあったので、決して品種のせいではないのですが。

結局「美味しくない。。」との声を受けて販売もしなくなったわけだけれど、ではそこになにを植える?となった時に、良い代替品種も思いつかないままだらだらと作り続けていた、そんなマンダーリンにとっても作り手にとっても不遇な時代にとうとうお別れする時が来たわけです。

シチリアの赤いオレンジ

そしてその椅子には満を持しての登場となる「ブラッドオレンジ」が座ることになります。

「前からあるやないかい!」

の声が聞こえてきましたがただの耳鳴りだったかもしれません。

実際10年くらい作っている品種なのだけれど、良さげな品種だからといって安易に飛びついてマンダリンさんの二の舞を演じるわけにもいかないのだ。
見た目のグロさもあって当初は販売に苦労したこともあり、栽培方法の確立と販売に自信が持てるまでは、あくまで試験栽培というスタンスで取り組んでまいりました。

ありがたいことにある時期から需要が供給を上回る状況になってきたわけですが、生産の不安定さ(色づきが悪いとか収穫前にたくさん落ちるとか)は相変わらずなのと、売れ行きについても一過性のもので今はタピオカってるだけかもしれないとか考えて、とりあえず安定生産を第一にしてそれで数が足りないようであれば増殖を考えようと。。ええ、まぁ、慎重ではなく気が小さい性格が災いして商機を逸しているということですね。

足りないんだったら増やせよ!売れなくなったらその時に泣け!!

ということに今更気づいたのは昨年の夏です。

ということで、

まずは伐採。
細い枝は粉砕。
そして抜根(逆光)
おやつは採り残りのマンダリン。

作業はとりあえずここまで。このあと苗木が届く3月中旬までの間に、太株や根っこの処分と植え穴掘りします。

ブラッドオレンジ(モロ)はただ今こんな感じです。今年は増殖の必要がないと思われるくらい爆成りです。まぁ人生そんなもんです。
でもこれから大量落果が始まる(かもしれない)と思うと気が気ではないです。

ちなみにサガマンダリンはすべて伐採したわけではなく、ほんの少し残してあります。この思い切りの悪さというか未練がましさに性格がよく現れておりますです。