俺の剪定。

剪定作業。

2022-02-14


夜明けが少しづつ早くなり、日暮れがだんだん遅くなり、明るい時間が日に日に長くなって来ました。
少しづつ春が近づいているなぁという実感はあるのですが、まだ2月の半ば。昼間は上着を脱ぐくらいの陽気でも、夕方になると足の指先からがじんじんと凍えてくるから、今はまだ確実に冬なのであります。

畑の中では年中緑の葉をたたえているみかんの樹も、この時期は冬眠中。動きを止めて生気なく、寒さに耐えるようにじっとうずくまるように佇んでいます。
土の上にはびこる雑草たちもさすがにこの時期だけはおとなしく、戦いは小休止といったところです。

樹の散髪。

年とともに大きくなって混み合ってくる樹の枝葉を整理して、最良の果実が均一に成るように剪定をしていきます。
いわゆる人間で言うところの散髪です。

散髪の場合は床屋帰りが男前の最も仕上がった状態ですが、剪定の場合はみかんが出来上がる頃に男前になるような切り方をします。
まあ男前と言っても樹の健康や良質なみかんを作るというのが目的なので、姿かたちの話ではないのですけどね。
半年以上先を見越した作業となるためなかなか技術の習得が難しいとされています。

散髪と同じように剪定にも時代の流行があったり人それぞれに顔の形や髪質が違うように、土の性質や品種の違いがあるので男前のイメージも人それぞれです。
営農指導者による「剪定講習」なんていうのも時々行われていますが、そこでは角刈りからニューヨークバーバースタイルまで様々なカットが分類されている理容の世界とは違って、講師の「俺のやり方が唯一の剪定である」的な講習が行われがちなので、あまり真に受け過ぎない方が良かったりします。

みかん栽培においてはこの剪定方法を見つけるのが重要で、当園のような「隔年結実」とかだったり、場所や土の性質、どんなみかんを作りたいのかによって剪定の目的が全く違ってくるので、基本的な切り方は参考にしつつも、根っこや芽の動く時期だとかホルモンの流れだとかの理屈だけサラリと勉強して、あとは自分に似合った「俺の剪定」を習得していくことになります。

俺の剪定。

こちらは昨年着果させた極早生みかんの「紀南1号」。若木なので今年も花が付きそうなのだけれど、2年連続で成らせると極度に樹が弱るので、無理やり切り替えして空間を作ります。

剪定作業。

今年1年しっかりと休ませて、切ったところから来年花が咲く芽を出させてちょうどよい感じにします。この「ちょうどよい」というのがいわゆる私の思う男前のイメージです。ちなみに昨年は成ったり成らなかったりの樹が出来て7割失敗しました。w

こちらも同じく極早生の「日南1号」。昨年しっかりと成ってくれたのでゲソゲソに痩せこけております。これを1年休ませて

ここまで回復させられれば大丈夫です。ちなみにこの樹は一昨年(2020年)に成らせて、昨年(2021年)休ませた樹です。
葉っぱの色が若干薄いような気もしますが、これから調整していきます。

十分回復しないまま着果させるとこのように瀕死状態になります。
株元の樹皮が剥がれているので、このまま枯れるか生き延びたとしても完全復活は見込めませんが、なんだかんだでこの状態のまま10年以上生産を続けていられるのは「隔年結実」にしているおかげです。
そしてこんな樹が「菊みかん」を作ってくれたりします。

「隔年結実法」については以前にも書いたと思うのですが、いつだったか忘れてしまっているので後日また改めて書いてみたいと思います。
その他の中晩柑は、収穫が終わってからその品種ごとに方法を変えつつ剪定していきます。
そんな感じで剪定作業は5月くらいまでだらだらと続きます。