モノ言わぬみかん

2016年7月18日(月)


自然界の中で植物は土から養分を吸収して育ち、そのほとんどはやがてその場で土に帰り、新たな養分となります。それに対して営利目的で栽培されている農作物は、収穫されたのち畑から持ちだされます。そのため吸い上げられた養分は、土からだんだん減っていくことになります。その減った分を補うのが施肥という作業です。

使用される肥料としては、植物の生長に必要な3大要素である「窒素」「リン酸」「カリウム」のほか、ミネラル肥料と呼ばれるものもあります。

カルシウムやマグネシウムなどの比較的多量に必要なものから、鉄、亜鉛、ホウ素、モリブデンといった微量な要素まで、これらをバランス良く土壌に含ませていきます。

バランスを取る。

適切な施肥のために土壌診断というものをおこない、各要素がどれだけ土壌に含まれているかを数値的に把握したうえで、足りないものを補い、過剰なものは削減するといった施肥設計を立てていきます。

しかし、たとえ各養分が土壌に含まれていたとしても、高温や乾燥といった根の活動を妨げる環境であったり、塩基バランスが崩れていたりすると養分を吸収できない場合があります。

塩基というのは大雑把にいうと、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどの交換性陽イオンのことで、このバランスが崩れるとお互いがジャマをして(拮抗作用と言います)吸収され難くなります。
例えば土壌にカルシウムが過剰になると、マグネシウムやカリウムの吸収が抑制される。といったようなことです。

この拮抗作用や、逆に吸収を助け合う相互作用というのは、すべての要素に及んでいるため、それらのバランスを保つことが最も大事なことなのです。

化学肥料と有機質肥料

「緑の革命」と呼ばれた化学肥料の登場により、農産物の生産効率が飛躍的に向上したことで、20世紀以降、爆発的に増えた人口の食料を支えてきたわけですが、しかし最近はその罪ばかりが取り沙汰されているようです。

「化学肥料は、土が固くなり、ミミズや微生物などがいなくなり、病害虫にも弱くなり、味も悪い。そして環境や健康にも外を及ぼしている。」などと言われ、逆に有機質肥料や堆肥などを使った栽培は「有機物のおかげで土が柔らかくなり、土中生物が増え、美味しく健康にも良い・・・」など。

  • 化学肥料(無機質肥料)=無機質(窒素、リン酸、カリなど)を成分別に人工的に合成または抽出したもの。
  • 有機質肥料=自然の中で生成される有機物を利用。

これは作物の生育に必要な成分を供給するにあたり、必要量を個別に配合された化学肥料を使うのか、総合的に含まれている有機質肥料を使うのかという違いになります。

化学肥料ばかりを使っていて土中生物が減り土が固くなるのは、土中生物のエサである有機物が少ないからであり、アミノ酸やミネラルの供給が少ないために味が悪くなるのであり、作物が病害虫に弱くなったり、健康や環境に影響が出ているのは、ある種の成分が過剰に施用されているからです。

有機質肥料は微生物により無機物に変換されてから吸収されるため、肥効が現れるまで時間がかかります。さらに生育の主である窒素の含有量が少ないために大量に施用する必要があります。これは必要でない成分まで施用することになり、それが蓄積され環境への影響に現れることになります。

つまりどちらにもメリット、デメリットがあり、どちらを使うかという方法論ではなく、適切なバランスをどう取っていくのかということに尽きるのです。

有機だから美味しいとか、化学肥料だから環境に悪いといったことではないのです。適切なバランスは土壌環境や天候、作物の種類によってすべて変わってきます。
それを見極め、最良のバランスを保つ方法を見つけることが大切なことなのです。