水分コントロール

水分コントロール

2017年7月14日(金)


みかんの美味しさは「甘み」「酸味」「うまみ」のバランスによって成り立っていて、特に甘みによって味が左右されます。

みかんの甘さは、果汁にどれだけの糖分が蓄積されているかで決まってくるのですが、この糖分がどうやって生成されるかという化学的なことはさておき、(ちゃんと知らなくて説明できないのではないか?という疑問もさておき。)生産者はできるだけ糖度の高いみかんを作ろうとします。

甘けりゃいいってもんじゃないんだよ!というご意見に関しては
「最近のみかんは・・・」  を御覧くださいませ。

秋から冬にかけて収穫されるみかんの場合、春先から初夏にかけて生長し、夏場から収穫までは生長を続けながらも内部から成熟していきます。
「生長」というのは果実が大きくなっていくことで、「成熟」というのは食べ頃になるということです。

この生長や成熟には水分(雨)が大きく関わっていて、一般的には夏場から収穫時にかけて雨の多い年は実は大きくなりますが、甘みが少なく水っぽいみかんになりがちです。

逆に雨が少ないと糖度は上がりますが、実が小さかったり、極端なときは樹が枯れるという事態が起こってきます。

昨年のこの地域の「極早生みかん」でいうと、夏場は雨がほとんど降らなかったため実は小さめでしたが糖度は高めで推移。
一転して初秋からは雨の日が続いたため糖度上昇スピードは鈍化し、夏場の渇水の影響が強く残ったせいで果実の肥大はあまり進まず。という結果でした。

つまり、9月下旬から早採り出荷(青切りみかんというやつです。)した生産者は「今年は美味かったなぁ。」と言い、完熟する10月中旬から出荷を始めた北東農園は「期待していたほど糖度が上がらなかったにゃぁ。」と言いました。

ということです。

糖度を1度上げるためには至難の業が必要ですが、下げるのはいとも簡単です。その味を決める重要な要素の大半を「お天気しだい。」に委ねられているのが果物栽培のもつ宿命なのですね。

水分コントロール。

初夏になると「ハウスみかん」が店頭に並び始めます。これはビニールハウスなどの施設内で、温度と水分を人の手で管理する栽培方法によって宿命に抗っているわけです。

室内で気温を調整することで季節をずらした収穫ができ、水分を調整することで甘いみかんに仕上げます。

野外で栽培する露地みかんの場合も雨をコントロールすることができれば、ハウスみかんのような甘いみかんが安定して作れるということになるのですが、自然相手に雨のコントロールをするのはなかなか難しいものです。

そこで我々生産者がおこなうのは

  1. 雨乞い
  2. 日照り乞い
  3. マルチシート

です。

マルチ栽培。

2014-06-09 マルチ1

マルチシートと呼ばれるシートを敷き詰めて、雨が地面に染み込まないようにする栽培方法のことです。

マルチシートについてはこちらで。 

これで水分調整をして美味しいみかんに仕上げていこうという戦法です。

でも実際は、雨が降れば葉や実から水分が吸収されてしまうし、枝や幹を伝って株元に流れ込むわけで、やはり天候の影響は排除しきれるものではないのですね。
資材費用だって馬鹿にならないうえに、展張作業、収穫後の回収作業に手間がかかるし、数年に一度新しいものに取り替える必要もあります。

それでもマルチシートを使えば糖度が1~3度くらい上がると言われており、通常の露地栽培における至難の業に比べれば、比較的容易に結果を得ることが出来るとあって、炎天下での展張作業に精を出すのですね。

さいわい北東農園の場合、水はけの良い緩やかな傾斜で直線的に整列した植栽。さらに水源付きの潅水設備完備という、マルチ栽培の効果を最大限に引き出せる立地環境にあるので、もちろんやらない手はないわけです。

実際は排水等の問題もあって園地全てに導入というわけにもいかないのですが、主力の「極早生みかん」をはじめ、温州みかんの大半をマルチ栽培にしています。

収穫の早い「極早生みかん」の6月中旬を皮切りに約1ヶ月。当園で一番収穫の遅い「尾崎中生」を張り終えてマルチ展張が完了です。

そろそろ梅雨明けの知らせも聞こえてきそうななか、やっとスタートラインに立ったわけで、これから本格的な管理が始まります。

ただ、

いかんともし難い天候のことはさておき、

目下の大問題はコヤツ

2017.5-28タヌキ

最近やたらと見かけるタヌキ。

畑や家の周りをねそねそと歩き回って

意味もなく穴を掘り、意味もなくロープを食いちぎり、

意味もなくシートを破いていく。。。

2017-07-09-1

補修がたいへん

ヽ(#`Д´#)ノ