2014.5.21
しばらく振りのまとまった雨で新葉の緑が一段濃くなったようです。 この春定植した苗木の葉色が、ちょっと薄い気がしていたのでひと安心。 これから気温が高くなるにつれぐんぐんと成長する時期に入ってくるので、肥料と水が不足しないように見守っていきます。
甘けりゃいいってもんじゃないんだよお。
「最近のみかんは甘過ぎる。」というのを時々耳にします。もっと美味しくもっと甘いみかんを目指している生産者としては努力は報われないのか?と思ったりしてしまいますが、どうもそうではないようです。
一般的にみかんは、見栄え及び需要と供給という要素を除けば、甘い(糖度が高い)ものほど値段は上がります。 市場で「糖度が1度上がれば100円/kg上がるよ。」なんて言われて一生懸命に努力するわけですね。
実際は需要と供給や見栄えのこともあるので一概にそうでもないのだけれど、とりあえずは他の人より少しでも甘いみかんを作ろうとしています。
それとは別に糖度はそこそこで良いから栽培面積拡大や樹1本あたりの収量を上げる栽培管理で収入を増やそう!という生産者もいます。
昔ながらのみかんの味。
北東農園は糖度を上げたい側の前者でして、「甘けりゃいいと思ってんのかよお!」とか言われると立つ瀬がないので、頑張って考えてみました。
「今のみかんは甘い。」と言われる方は、そのあとに「昔食べていたみかんの味が良かった。」と続けて言いますね。
昔ながらのというのは「子供のとき近所の食堂で食べた中華そばの味が一番やねえ。」というのと一緒でしょうか。 「そうそう、なんだかんだ言ってもうどんといえば、柔らかい麺にヒガシマル粉スープの素が一番やで!!」だったりしますからねえ。 そういうことなら納得します。
でも、みかんの場合少し違うような気もします。 では昔のみかんと今のみかん、何が違うのでしょうか。
美味しいみかんの定義
戦後間もない日本では、食糧不足を解消し、自給率向上と栄養状態の改善のため農産物の安定供給が大きな課題でした。 需要に供給が間に合わない状況のなか、とにかく産めや増やせやということで、作れば売れた時代でもありました。
みかん農家も安定生産が大目標となり、味の追求というよりはとりあえず食べられるようになったら早めに収穫をして、翌年の生産に備えるという栽培管理をおこなってきました。
さらに今と違って輸送に時間がかかったため日持ちを考慮し、完熟する前の状態で収穫する必要があったのですね。
甘さそこそこで酸味の残る甘酸っぱい味。
これがいわゆる昔ながらの懐かしいみかんの味です。
それがオレンジの自由化などもあり、最近では海外からの新しいフルーツなども多く紹介されるようになりました。
味の多様化につられるように、みかんも甘くより酸味の少ないものが好まれるようになってきました。
市場には「主にみかんを好んで食べるのは酸味を嫌う女性と子供。」という認識があり、とにかく酸を抜いて出荷するように要求されています。
酸味が少なければ甘みを感じるようになり、酸味は収穫前に潅水を多量におこなうことで抜くことが出来ます。
結果、甘いんだけど物足りない味というのが「昔のみかんの方が・・・」という言葉になっているような気がします。
ただ、味の好みなんて人それぞれですから、「甘さがなくても水っぽくても酸味がないほうがたくさん食べられてうれしい。」とか、「甘過ぎるくらいなら酸っぱ過ぎる方が救いがある。」なんていうご意見のなか、
「お前さんとこはどんなみかんを目指してるんだい?」と聞かれれば、 「甘みはより強く!そして酸味も感じられるコクのあるみかんです!!」 と答えます。
言いながらちょっと目が泳いでいますが気にしないでください。 意気込みだけは一流です。