新芽の発動。

2016年4月12日(火)


朝の寒さもあまり感じなくなり、昼間は少し力むような仕事をすると汗をかくようになってきました。

桜が散る頃、みかんの樹からは新しい芽を出てきます。
年中葉っぱをつけた常緑の柑橘でも、冬場はしんと佇んでいて眠っているように見えます。それが4月に入り、ほんの数ミリ柔らかな薄緑色の新芽を出しただけで、途端に活き活きとして見えてきます。

呼吸を抑えて固くなっていた旧葉も、心なしか立ち上がってきた感じで、少しツヤも出てきました。

このみかんの樹の活動というのは、早くからすでに土の中で始まっています。
3月に入ると気温の上昇とともに霜が降りなくなり、雨の日が多くなってきます。
陽の光で地面が温まると、地下の根が目覚め吸水が活発化してきます。

吸水量が増えることで樹の体内圧力が高まり、その圧力で押し出されるように新しい芽が吹き出すという仕組みになっています。その新芽がやがて花になり葉を出し、その葉が陽の光を浴びて養分を作ります。

畑の土の中の春。

同時に土の中でも地温が高く水分が多くなるにつれ、虫や微生物たちが活発に動き出します。

土1gの中に約1億いるとされる微生物、それにミミズなどさまざまな虫たちは、落ち葉や枯れ枝などの有機物を食べることでそれらを分解させ、植物のエサとなる養分を作り出します。

植物はその栄養分を求めて新しい根を伸ばし、栄養を取り込むことで地上部の枝葉も生長していきます。

そして成熟したあと、やがて果実や役割を終えた枝葉はまた土に返っていきます。
植物と微生物や虫たちは、土の中で生活しやすい環境を作り出すために、互いに協力しあい循環しているのです。

その循環の環に人間が加わるということ。

自然の中では、姿や種類を変えながらも植物や生き物は循環していく仕組みがあるのですが、そこに人間が加わると循環システムのバランスが崩れてしまいます。

農業というのは自然の中で成り立っているものではなく、田畑は人工的に造られたものであり、人間のための食物を作り収入を得る経済活動の場です。

自然ではない場所で自然のシステムを利用しながら、収穫物を持ち出すことで循環の輪を断ち切ってなお、循環を成立させていくのが農業です。

「みかんの声を聞く」とか「自然は美味しい」なんて、すごい欺瞞だなと思うわけですが、とりあえず今年も新しい芽が出てくれたこと、土をいじればミミズがうごうごと這い出してくるのを見て、改めて

今シーズンも頑張って行こかいねー!!

と思った次第です。