花が咲くと

花が咲くと

2024-05-11

今となってはなんだか懐かしい響きもあるコロナ禍が開けて初めてのGWは、観光施設の駐車場は車で溢れ各家の庭も車で埋まり香梅堂の前ではいつも以上に渋滞が起きておりました。

まるで数年間のウサを晴らすかのごとく人が押し寄せたわけですが、このような場合、移動における田舎ならではの「1km/1分」計算が使えなくていつもなら15分で着く所に40分掛かるとなったら、日常的に人が押し寄せている京都とかの人は大変だなぁと思ってしまいますね。

ということで観光地の人混みに入っていく体力も気力も資金もない我が家では、お出かけもせずいたって普通の日常を送っておりました。

人々の楽しげな様子を見ると家族からはやはり「どっかに連れてけ~よぉ!おやじぃ~!!」という声も聞こえてくるわけですが、このGWの時期は田植えやみかんの開花の時期に当たるので、遊びに行ってるヒマはないのです。

という言い訳が通用するくらいには忙しいのです。米は作ってないけどまあまあ忙しいのです。

みかんの花咲く丘では。

花の蜜を求めてミツバチが集まり、葉っぱの汁を求めてアブラムシが集まりそのアブラムシを求めててんとう虫が集まり、その他にもいろんな虫がいろいろと集まって来ていて、小さくて見えづらいだけで畑は相当賑やかな様相になっております。

同時に気温が上がり雨の日が増えてくるとカビ菌なども発生してきますので、虫眼鏡よりさらにマクロな世界ではもうこれはお祭り状態になっているのではないかと思われます。

ということでみかん園ではこれから「防除」という作業が非常に重要になってまいります。

防除というのはその字のごとく、作っている作物に害のあるものを防いで取り除くという意味で、農産物を生産していると虫や病気のほか鳥や獣や窃盗など様々なものを防除する必要があるのです。

これらをどうやって防除するか?なのですが、季節や生育の過程で様々な病虫害が入れ代わり立ち代わり大事な作物を食べに来るわけで、鳥や獣や人に使える薬はないのでとりあえず横に置いといて、虫や病気(主にカビ)に関してはその様々な病害一つ一つに対応できる薬剤を入れ代わり立ち代わりの時期に合わせてうまく使っていきます。

昔は超強力皆殺し剤みたいなものがあってもう少し単純な防除作業だったらしいのだけど、「そんな薬をこのまま使い続けていたら鳥の声も聞けなくなるわよ!!」っていう指摘があってから、「害虫①にはA剤、害虫②にはB剤、害虫③にはC剤、害虫①と②に同時に効くDが新発売されました!でも害虫①にはA剤単体よりは効果が低いので気をつけてね!」っていう感じで健康被害や環境への蓄積などの問題が改善されてきた代わりに、効果が害虫単位だったり、数日で効果がなくなったりするのでおびただしい数の薬剤の中から上手にチョイスしてタイミングを見計らって使う必要が出てきたわけですね。うまく使えないと全く効果が出ないっていうことになります。

ちなみにこれは害虫予防の「殺虫剤」の話で病害予防の「殺菌剤」も加わりますので複雑さは2倍となります。

さらにそこにお天気という圧倒的なまでの不確定要素が絡んでくるのですね。効果が出ないうちに雨で薬剤が流れたっ!!てなことになると泣くに泣けない事態になるので、防除は非常に頭と気を使う作業なのです。

で、その薬剤チョイスや使用タイミングについてはJAが「防除暦」なるものを出してくれています。

この防除暦、同じ薬剤を複数年連続して使用しないようにとか、病害虫の発生傾向に合わせて種類が変わったりとか頻繁に更新されているので、しっかりと読み込んでおく必要があります。

とはいえそれをまるっとやるわけではなくて、あくまで参考にして自分の畑の環境や作っている作物の生育状況に合わせて使い分けをしていきます。

SNSなどを見てると他の地域のみかん農家さんがぜんぜん違う薬剤を使ってたりするのでそれも参考にしたりしますが、あまりいろんなものを参考にし過ぎると混乱して間違う可能性も出てくるので、ほどほどにする方が良さそうです。

ということでGW前は1週間以上雨予報だったのでおののいていたわけですが、蓋を開けてみると日に日に傘マークが消え、「良いお天気時々雨」っていう過ごしやすいGWとそれ以降のお天気となっています。

で、ちょっと早いかなと思いつつ殺菌剤を前倒し散布した所が今こんな感じです。

カビ~~!!

満開を過ぎた花びらはパラリと落ちてほしいところですが、殺菌剤の残効を高めるために混用した固着剤(展着剤)が繋ぎ止めているようです。
じゃぁ固着剤を入れないほうが良かったのかといえば、入れなければ入れないで雨のせいで効果が早く切れてカビが発生していたかもしれない。

そんな感じで毎年いろいろごちゃごちゃと考えながら作業をしているわけですが、果たしてこのカビが果皮に感染っていたら今回の防除は失敗で、感染っていなかったら成功ということになるのですが、今はまだ果実(になる予定のもの)が小さ過ぎて分からない。

答えは数カ月後に出る予定です。

ちなみに当園で行った防除の内容はこちらでご覧いただけます。