2016年9月10日(土)
9月も中旬に入ると「極早生みかん」の収穫が本格的に始まり、店頭ではいろんな産地や生産者が作ったみかんが競い合うように並べられます。
「われこそがあなた(お客さんね)に食べて戴くにふさわしいみかんでございまする!」と、POPやパッケージに貼られたシールや値段などがそれぞれアピールしているわけですが、あなた(お客さんね)がみかんを選ぶ基準は何でしょうか。
あなた(お客さんね・・・もういい?)とすれば、「美味しい方が良い。」でも「値段は安いほうが良い。」「シールに付いているおじさんの顔写真は男前の方が良い。」というところでしょうか。
選ぶ側からすれば、どいつもこいつもPOPには「美味しいっ」て書いてあるけど、どれが一番美味しいとは書いていないのが問題です。
売る側からすれば、「美味しいですよー!」と大声で宣伝しても「美味しくないですよー!」って宣伝する人がいない現状においては、「美味しい」がにわかには信じていただけないわけです。
見た目で味を判断するのは難しいって、ちょっと前に誰かのブログ(たしか「美味しいみかんの見分け方」というタイトルだったかしらん?)で書いてあったし、なんとなく値段の高いほうが美味しいのかなという気はするけど、もし値段の安いほうが美味しかったら悔しいわ。どうしましょう、こんなところで間違いを犯すような愚かな主婦であってはならないわたくし、いっそ全部買ってみて食べ比べてみるか・・・早く決めないとタイムセールが始まっちゃうわ・・・いったいどうすれば・・・
とか考えているうちに
「キンコンカンコーン
只今から特設コーナーにてタイムセールの開始でえ~す!あんこの詰め放題つかみ放題~~!!」その奥さん、それっきりみかん売り場には帰って来ませんでしたです。
というようなことがスーパーで日々起こっているのではないかと想像するのです。
それと、あと重要な選択要素として挙げられるのは「みかんの産地」(やっと今日の本題)。
みかんの名産地。
「みかんといえばやっぱり愛媛でしょう。」
「日本一の産地といえば今や和歌山!。」
「シ・ズ・オ・カ~~!」
「え?三重県でみかん作ってるの?」
とか
仕入れルートが多岐にわたるスーパーなどでは、いくつかの産地のみかんが店頭で並べられていますが、どれが美味しいのかよく分かりません。見た目で見分けがつかない時と状況は一緒です。
「〇〇県産のみかんは中の袋が薄くて酸味もあって美味しい。」
「△△県のみかんは小ぶりでコクがある。」
「✕✕県産のみかんは皮が厚めだけど甘みが強い。」
「三重県のみかんなんか食べたことないし~」
などなど言われたりしますが、いちおう専門家の端くれの立場の意見としましては、
「あんまり当てにならないです。」
と答えます。
理由としては、気温、土壌、陽当たり、生産者、そのすべてが違う条件において、味の傾向に統一性など見い出せないからです。特に山肌の段々畑などは方角によって条件の差異が大きくなります。
そして、みかんは一度の大雨で味が激変するほど天候に左右される度合いが強く、食味を安定して印象付けられるのが困難な作物なのです。
そんななか、県別の傾向があるとすれば、味の特徴というよりは品種系統によるものが挙げられるかもしれません。
- 和歌山県は温暖な気候を活かして、早熟型で中の袋が薄く酸味の残る「極早生」や「早生」が多く栽培されている。
- 愛媛では一般的で実の締まった「早生」や「中生」などが中心。
- 静岡県はいわゆる「こたつみかん」と呼ばれる熟成期間が長く高糖度な「晩生」が代表品種。
などというように、それぞれの気候や土壌条件に合ったものが栽培されていますが、とはいえ、和歌山でも「晩生みかん」は栽培されているし、静岡の「極早生みかん」もあるのですね。
これらすべての要素を踏まえた上で味の傾向を示そうとすると、膨大な期間と莫大な試食が必要となるわけで、
つまりのまとめ。
結局、「みかんの味は産地じゃ分からない」という結論に至るわけです。
「食べてみないと分からない。」という農産物の持つ大きな問題に対して、産地表示が解決に寄与しない今、
この産地表示とは別の「みかんのブランド品」なるものが最近目につくようになってきました。
この「ブランドみかん」が、消費低迷するみかん業界の救世主となりえるのか!!
勝手な考察は次回に続くよ~