防除の季節。(おさらいその1)

防除の季節。

しばらくブログの更新をお休みしていたので、少し時間を遡って今までの作業内容をお伝えしております。

2023-05-16

北東農園では4月下旬ですべての収獲が終わったわけですが、そのあとヒマになるのかと言えば全然そんなことはなく、収獲によって遅れていた管理作業を取り返すべくいろんな仕事を同時進行でちょっと急ぎ気味に進めて行きます。

5月上旬-防除-

みかんを始めとする柑橘類は4月下旬頃から5月中旬頃までが開花時期となります。柑橘には初秋の「極早生みかん」から翌年春の「中晩柑」まで沢山の品種があり、長い期間収穫されるものですが、花の咲く時期はほとんど同じというのはなんだか不思議な話です。単純に開花から成熟するまでの期間が長いほど甘くなりがちと考えることができます。

今の時期は気温が上がり雨の日も増えてくると同時に、虫たちが活発に動き始めカビ菌が繁殖し始めます。自然界では数多くの虫や菌が(ウイルスも)いて、その中でみかんは収穫されるまでじっと耐えることになります。
生産者はそのみかんを守るために害となる虫や菌を排除する「防除」という作業を行います。

特に花や新芽にはいろんな虫や菌が集まってきます。柑橘類は受粉しなくてもいいのでミツバチは必要ないけどわざわざ殺す必要はない。でも同時にやって来る「コアオハナムグリ」と「ケシキスイ」(訪花害虫と言います)は実にキズをつけるのでやっつけたい。
また、大事な新芽を加害するアブラムシに殺虫剤を散布すればそのアブラムシを食べてくれるてんとう虫も殺してしまう。

ほとんどの農業者は決して農薬をバンバン使って皆殺しにすれば済むとは考えていなくて、「作物を守りたい、でも無駄な殺生で環境のバランスを崩したくもない。」というジレンマを抱えながら防除作業を行っています。

で、実際はどうするのかといえば、花に集まってくる訪花害虫の数が少ないと見込めば満開時に殺虫剤は散布しないとか、新芽の緑化を早めるように管理してアブラムシの発生をできるだけ抑えるといったことで無用な殺生を出来るだけ減らす工夫をしています。

とは言っても他にも要防除の害虫はたくさんあるしカビ菌は待ったなしだしで防除作業は避けて通れない以上、そんな工夫が役に立っているのか甚だ疑問ではあるのだけれど、毎年毎年訪花害虫は飛んでくるしミツバチの羽音は煩いしアブラムシもてんとう虫も蝶々もアオムシも減る気配がないので、とりあえず今の調子で大丈夫なのかなという感じではあります。

北東農園で行っている防除の内容は「2023年防除履歴」でご覧いただけます。

これから梅雨明けまでの約2ヶ月間は病害虫とのにらめっこが続きます。殺虫剤は害虫の発現具合に合わせて、また殺菌剤は気温や雨の量や湿度に注意しながら約2-3週間の間隔で防除を行います。

「無駄な殺生はできるだけしない」とか言ってますが、実際は必要以上の散布は経費のムダであり時間の浪費であり何よりめんどくさい。
なので常に観察を怠らずタイミングと薬剤の選択を間違わないようにして、1回でも1剤でも削減することを目指します。

「少ない防除で最大の効果を上げる。」というのが慣行栽培者としての矜持なのかもしれません。
「や~い、俺なんてこんなに少ない防除でこんなにキレイなみかんを作れるんだぜ~!!」っていう気持ちもあったりするので、はたして矜持なんていう綺麗な言葉が適当とかどうかは分かりませんけど。