みかんの生育状況2021年8月

みかんの生育状況2021年8月

2021-08-27


長雨の後は青空がとてもありがたい。
ありがたいんだけどありがたいと思うのもつかの間で、連日の猛暑に早くもウンザリです。とりあえず合羽着なくていいだけ嬉しいことだなあとは考えるようにしていますが、夏バテの沼にどっぷりと浸かり込んでおります。

そんな自分と呼応するようにみかんも急にぐったりとしてきました。

秋に収穫を控えた極早生みかんなんかは、雨が続いている最中は葉っぱや果皮が目一杯水を溜め込んで割れる寸前の風船みたいにぱっつぱつ状態だったのですが、晴れ間が広がった途端にしぼみかけの風船に逆戻りです。
雨と晴れが交互にやってくるこれからは、いわゆる緊張と緩和を繰り返しながら少しづつ成熟に向かっていく段階となっていきます。

ちなみに温州みかんには雨が地面に染み込まないようにするためのマルチシートを設置してはいるのですが、雨が降ると葉っぱや果皮の呼吸穴(気孔と言います)から水分を吸収します。それ以上に雨が枝や幹を伝って株元から土に流れ込むので、長雨の間は水分ストレスが掛かっていない状態となっています。
このあと晴れ日が数日続いてやっとストレス負荷が再開される見通しとなっています。

長い停滞期ではありましたが、夏前半の水分ストレスがしっかりと効いていたおかげで現在のところ糖度的には昨年同時期とほぼ同じで酸味も十分といった感じです。

現在の生育状況

というわけで現在の生育状況の報告です。比較写真は前回の8月上旬に行った資料が消失(笑)したため、前々回(7月上旬)のものとなります。

極早生みかん(日南1号):横経45-53mm

7月上旬より10mm以上肥大が進んでいます。特に今回の雨でいっぺんに大きくなった印象です。
ウチとしてはもう少し小さめのほうが良いのですが、全体的に見れば樹勢が弱くて全然肥大の進んでいない樹も結構あるので、小玉の収穫量もそこそこありそうです。
わざわざ果皮の汚いのを写真に撮る必要もない気はしますが、こんなのもありますよーということで。笑

8月22日現在
7月5日時点

断面はこんな感じです。果皮が薄くなめらかになり光沢も出てきました。そして果肉の色もかなり進んでいます。酸っぱいですが食べれないことはないといったところです。

不知火:横経55-65mm

不知火は夏場に水がたくさん必要な品種なので、今回の長雨はありがたかったです。平均で10-15mmほど肥大が進んでいます。

8月22日現在
7月5日時点

果皮がかなり薄くなってきています。例年より枯れ枝が少なかったり葉っぱの色が濃かったりと、(そんな風に見えないかもしれませんが)樹の状態も良さげです。
味に関しては成熟までまだ半年以上あるので、今のところ全然分かりません。

ブラッドオレンジ(モロ):横経36-40mm

雨の少ないヨーロッパ原産だからでしょうか、肥大に関してはあまり雨の影響は受けていないようで、前回より2-7mm大きくなった程度です。
その代わりに栄養が枝や葉っぱの方に行ってるらしく樹が巨大化しております。モロが植わっている区画だけジャングル状態です。管理しづらいです。

8月22日現在
7月5日時点

肥大に関しては少しづつといった感じですが、中身はずいぶん変化しています。果肉の生長スピードが果皮肥大を上回っていて、間の白い綿部分(アルベトと言い、果肉に養分を運ぶ役目をしています)が押しつぶされているような状態です。それでも裂果しないのは果皮が硬式野球ボールくらい固いからだと思います。ちなみに断面の果肉に挟まっている茶色いのは種です。

はるか:52-56mm

はるかも今回の雨で一気にふた周りくらい大きくなっている印象です(7月調査より20mm以上の肥大)。
幼果時期は空に向かって成っていたのが重みで枝が徐々に下がってきました。柑橘はこうして枝がたわむことにより美味しくなると言われています。養分を送るパイプが圧迫されて生長養分がうんぬんかんぬん…だったかと…え~…思います。

8月22日現在
7月5日時点

こちらもモロと同じく果肉の生長が著しい。果皮もモロと同じくらい固くしかもサイズが大きいので、顔とかに当たると結構痛いです。
これも来春に仕上がる品種なので、口に入れても甘みなどはまったく感じず、果汁を絞ることすら難しいです。


「極早生みかん」については収穫まであと2ヶ月ほどとなってきました。残暑厳しい最中とはいえ、秋の気配を感じ取るように果皮の緑色が徐々に薄くなってきました。生長から成熟に切り替わってこれから仕上げの段階に入ります。

仕上げ段階とは言っても出来を左右するのはこれからのお天気なので、みかんが居心地良く過ごせるように枝を動かしたり傷ついた果実を取り除いたりしながら見守るのみです。
ちなみに早生みかんや中生みかんについては収穫が遅い分、約1-2ヶ月遅れの生育状況となっています。

そして成熟期が来春の中晩柑(みかん以外の柑橘類)については現在生長の真っ只中です。出来栄えの予想すらつかない段階ですが、イメージ通りの場所に着地できるように今までの経験を踏まえながら、摘果や雑草の管理や袋掛けなどの作業をこなしていきます。