悩ませるもの

悩ませるもの

2023-09-17

久しぶりに晴れ間が広がっております\(^o^)/
天気予報ではこれからしばらく傘マークが付いていなくて、雨季抜けた?みたいな感じになっております。
8月下旬から糖度がほぼほぼ上がっていなかったので正直ちょっと心配になっておりましたです笑。

このまま陽の光が届き続ければ甘みがどんどん増してくると思います。

でも暑いです。。

晴れの日が続けば続いたでまた水やりの心配が出てくるわけで、贅沢を言わせてもらうとできたら週一で少しの雨が欲しいところですがいかがでしょうか。

収穫が近づくにつれ心配事も増えてきます。

このまま雨が止まないのではないかとか長雨のせいで病気が出ないかとか天気が続いたら続いたで樹が弱ってしまうとか実が大きくならないのではないかとか台風が来るのではないかとかカメムシが飛んで来るのではないかとか残暑が収まらないでみかんが膨れてしまったらどうしようとか昨年より美味しくなかったらどうしようとか誰も注文してくれなかったらどうしようとか。。

みかんが色づくにつれ園主の顔色が悪くなっていく。。。

なんかの本で普段の生活の中では心配事の9割は実際には起こらないって書いてあったけど(確率の問題ではなくって心持ちの話だったような…)、みかんを作っている中では先程の心配事の9割は実際に起こりうるわけで、起こらないとすれば気のせいじゃなくてたまたまであって、心持ちで消えてくれれば世話ないよって話なので、心構えと対応策を用意しておく必要があるのですね。

話がクドい…

長雨とか台風の天気はまあどうしようもないから心持ちで凌ぐしかないのだけど、天気が悪くても味が良くなるような作り方だとか、天候の変化や病気に耐えられるように樹に体力をつけておくだとか、カメムシ用の薬剤を用意しておくとかっていう対策は取れるのですが、膨れみかんだけ解決策を見いだせずにいるわけで。

割れからの浮き

収穫前のみかんの実に起きる現象に「割れる」と「膨れる」というのがあって、「割れ」は夏場の渇水により樹や果実の水分が少なくなっている時に、いきなりの大雨でいっぺんに水を吸い込んだ場合、果肉が先に生長してしまい果皮が割れてしまう現象のことを言います。

なんか笑ってるみたいでちょっと不気味です笑。主に成熟初期~中期の着色前に起こり、雨が降るたびに割れたりもしますが、全体的に見れば1%にも満たない被害なので、まあ許せる範囲内ではあります。ただ、放っておくとみかんから腐敗した果汁(エイリアンのよだれと呼んでいます)が垂れて下にある果実も腐らせてしまうので取り除くのが地味に面倒くさいです。

「膨れみかん」は業界用語で「浮皮(うきかわ)」と呼ばれていて、「割れ」とは逆に果皮だけが生長を続けて実と皮が剥がれてしまう現象で、色づきが進んでいる成熟中後期に起こります。

主な原因は果皮の生長を促す気温と水分(また水や!)と言われていて、最初はヘタの部分だけが少し膨れはじめ、だんだん重度化していくと全体に膨れてサイズが上がったりします。

養分が通る管(白い筋のとこ)が切断されて味が悪くなります。持つと柔らかくてふかふかした感触になり簡単に破れます。輸送や保管に耐えられないため、生果としての価値はなくなり加工もしくは土に戻すことになります。

最終形態w。2Lサイズくらいの大きさですが、果肉のみだとMサイズくらい。

雨季も心配だけど浮きも心配なんていうくだらないダジャレを言っている場合ではなく、浮皮が収穫量や販売額に大きな影響が出るため、みかん農家にとっての今一番の課題となっています。
特に気温が高く雨の降る確率が高い時期に収穫を迎える「極早生みかん」においては、長引く残暑と活発な秋雨前線の2つが慣例となりつつある今「早生みかん以降の品種に改植を!」という流れも現実化してきそうな感じです。

地球温暖化なんていう言い方は大げさであまり好きではないのだけれど、まあここまで影響が大きくなると考えないわけにもいかない状況になってきたのかなと思います。

「極早生みかん」が主力の北東農園としては非常に悩ましいところですが、同時にこだわりも人一倍あるわけで、その理由は「あらゆるみかんの中で美味しい極早生みかんが一番美味しい」と思っているからなのですね。

というわけで「早生みかん」以降の品種割合を少し増やすなどしつつも、主力はあくまで「極早生みかん」で推して行く所存ではあります。

まあ要は「割れ」も「膨れ」も果肉と果皮の生長が同時に進めば起こらない現象のハズなのですけどね、でも元々柑橘というのはそういうものらしいです。

う~む。

なんとしてもこのバランスを少しでも矯正したいところではありますが、、

今のところ提唱されている対策としては「水分吸収を抑える」「果皮の組織を強くする」「成長ホルモンのバランスを調整する」「膨れる前に収穫してしまう」などがありますが、マルチシートは敷いているが雨による葉や果実からの直接吸収は抑えられないし、カルシウムなどの資材では決定打にはならないし、植物調整剤(ホルモン剤)の使用は自分の理解がもう少し進んでからにしたい、そして販売に関しては完熟前の収穫は問題外。といった感じです。

兎にも角にも良い根を出し良い葉を着け良い実を健康的に育てる事を常に頭に置いて、丁寧に作り込んでいくしかないのだろうなと思いながら、今の時期はカルシウムとかの葉面散布をおまじないのごとく定期的に散布しております。

さて、「割れ」は収まったっぽいし今んところは「浮き」は来ていないけども、このあとどうなりますことやら。