除草あれこれ

除草あれこれ

2020-07-18


農作業の中で除草作業は大きなウェイトを占める割には2次的要素の強い、言わば仕事のための仕事です。

農産物が人の手をかけなければ育たないのに比べると雑草の生命力は圧倒的です。特に梅雨の時期は水分が十分あるため、毎日のように種が芽を出し日に日に大きくなっていきます。
除草の手間をいかに減らすかがとても大きな問題となるわけですが、そもそもなぜ除草が必要なのかという課題の根本を整理する必要があります。

ちなみにあくまでも「柑橘栽培」においての話ですのであしからずです。

清耕栽培と草生栽培。

清耕のメリット

  • 蒔いた肥料が直接地面に届くため効きが早い。
  • 太陽光が直接地面を暖めるので春先の活動が早まる。
  • 土の乾燥を促しやすい。
  • 病害虫の繁殖を抑える。
  • 草にジャマされることなく作業ができる。

清耕のデメリット

  • 有機物が少なく単調な土になるため別途養分供給が必要。
  • 夏場の地温が高くなり根痛み等が起きやすい。
  • 過度な乾燥に陥りやすい。
  • 益虫と呼ばれる虫が少なくなる。
  • 雨で土や肥料が流亡する。

草生のメリット

  • 有機物が増え土中生物が多様になる。
  • 土が柔らかくなり作物の生長を助ける。
  • 太陽光が直接当たらないので夏場の地温上昇を抑えられる。
  • 益虫の住処になる。
  • 雨で土が流れない。

草生のデメリット

  • 蒔いた肥料が直接地面に届き難い。
  • 肥料を横取りされて作物の生長が鈍る。
  • 太陽光が直接当たらないので春先の地温が上がらず作物の活動が遅れる。
  • 害虫の温床になる
  • 作業のジャマになる

一般的には雑草を排除して作物を作る清耕栽培と、雑草を活かして作物を作る草生栽培に別れますが、長所短所というよりはほぼ表裏一体で、どちらの理屈を採用するかで雑草への向き合い方が変わります。

清耕栽培にも常に裸地にする完全清耕と、タイミングを見計らって裸地にする半清耕があり、その方法も「手で抜き取る」「鎌や草刈り機で切る」「除草剤で枯らす」「シートで土を覆う」など多彩な方法があります。
また、草生栽培と言っても雑草を放置するのではなく、作物の生育や作業の邪魔するものだけを抜き取ったり、雑草を抑制するための草(カバープランツ)で覆う方法などがあります。

どっちが偉いとか言う話。

上農は草を見ずして草を取り
中農は草を見てから草を取り
下農は草を見て草取らず

これは1600年代に中国で書かれた農業書の一文ですが、草刈り機も除草剤も無かった時代で、雑草が大きくなって根を広げ種を落とす前に処理する方が効率的である。ということを言っているものです。

それが日本に伝わり農業の現場で指導されるようになったのですが、いつしか「草を生やすようなヤツは怠け者だ。」という勤労道徳の格言として解釈されるようになっていったようです。
特に戦中後期の手詰まりな状況下においては、精神論として半ば強制的な指導に変質していったとも言われています。
戦時下で男手が減っていく中、競い合うようにひたすら草抜き作業をしていたという話もあり、単なる雑草の取り扱い一つにいかにも日本人らしい封建主義的な要素を見て取れます。

さすがに今では柑橘園の現場で手で抜き取る人はほとんどいなくなりましたが、雑草を生やすのは罪悪という感覚が現代でも残っていて、特に年配者から指摘を受けることでそれが逆に清耕という言葉への反発を感じる時があるのは皮肉な話です。

北東農園の草状況。

ウチの父親が一人でやっていた頃から畑の草は小さなうちにすべて手で抜き取る「完全清耕」で運営されていていました。

除草作業が年間作業の多くを占めていたところに私が就農したことで、作業が半分になり随分楽になったと感じられたかと思いますが、効率化を目指していかないと生き残れない時代です。いつまでも手取りにこだわる意味はないので、親父の体力の衰えをこれ幸いに少しづつ改革を進めているところです。

温州みかんは夏場の乾燥とマルチシートを敷くので上農気取りの手取り除草。

除草あれこれ

不知火は夏場の水分が大事なので草生。背の高くなる草を手で引き抜きつつ、たまに草刈機で散髪。

うおっ!

その他の中晩柑類は迷いながらも少しづつ草生に移行中。

車や運搬車の通路は除草剤で処理。

でも、そこは雑草とその種のことなので、線引して使い分けると言っても種が風に飛ばされたり、靴にくっついて移動させてしまったり、猫やタヌキや鳥たちが移動させたりするので自然と広がっていくものです。
無くなることのないこの問題をできるだけ省力的に付き合う方法を模索していきます。

しかしまあよくよく自分の子供の頃を思い返してみると、造成されて今の畑になる前はウチの畑だけ草がボーボーと生えていた記憶があるねんけど。。
どうも当時主流だった清耕栽培に対抗するために草生栽培でやっていたとのこと。周りからいろいろと言われたそうだけど聞く耳持たなかったとドヤられたんやけど。。

それってただの天の邪鬼。。。草